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このブログについて

11月28日記事追加 「二年目秋学期総括」を追加しました!
11月25日記事追加 「英語のベストフォント?」を追加しました!

私は,2016年夏からアイオワ大学ロースクール(University of Iowa College of Law)の法学博士課程(S.J.D.)に在籍して研究をしています。もともとはニューヨーク州の弁護士(さらに元をただせば日本のサラリーマン)で、アメリカ系弁護士事務所や日本の政府機関などで働いていました。アイオワでの研究生活ということで,とてもニッチな話題が多くなり、また、不定期での更新になってしまうと思いますが、お付き合いいただければ幸いです。

SJDやアイオワ大学ロースクールに興味があるが情報が全くない,という方のためにGmailアドレスを設定しました。お問い合わせなど,sjdiniowa★gmail.com(★を@に変更)までいただければ幸いです。

二年目秋学期総括

アメリカではサンクスギビングが終了,スポーツではカレッジ・フットボールのレギュラーシーズンが終了,そしてロースクールでは今週で授業が終了し期末試験に突入と,私の周囲は一気に年末に向かっています。私も,既に提出済みだった第一章と第二章のドラフトについて,いろいろな方から頂いたコメントを全て反映し,導入と結論を付け加えたものを昨晩指導教授に提出し,めでたく今学期を終了しました!今学期中の博士号取得は残念ながらできませんでしたが,あとはこれからいただく第三章へのコメント反映,プレゼン,口述試験を残すのみとなりました。

いろいろなコメントを粛々とドラフトに反映させる作業をしていると,弁護士事務所やインハウス時代に契約書やレターをドラフトしていた時のことが思い出されます。そこで重要だったことは,もちろんコメントを正確に反映することが大前提ですが,とにかく相手方に「ボールを投げ返す」(throw the ball back)ことでした。理由もなくボールを抱えている(hold the ball)と,プロジェクトが進まず,関係者全員に迷惑をかけてしまうからです。
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(言葉は悪いですが)今学期中に投げるべきボールは全て指導教授に投げ返し,今はすっきりと冬休みを迎えられるという状況なのです。ちなみに,私のメールボックスには,いまだに「ball thrown」というフォルダがあって活用しています。ときどきチェックして,投げたボールがなかなか帰ってこない場合には,相手方にリマインドするようにしています。英語ではballを使った慣用句がいろいろとあって,問題ばかり投げかけてちっとも答えを教えてくれない教授のことを,「ボールを隠す(hide the ball)」といったりします。紛争などで相手方から重要な証拠を隠すときにも,同様の表現を使います。

今学期のスケジュールをまとめると以下のとおりになります。

2017年8月21日  秋学期開始
2017年9月13日  第二章ドラフト提出
2017年10月12日  Workshopにおける第二章プレゼン
2017年10月19日  米国法入門授業担当第一回
2017年10月19日  R指導教授から第二章ドラフトへのコメント受領
2017年11月2日  第二章改定ドラフト提出
2017年11月7日  D教授から第一章,第二章ドラフトへのコメント受領
2017年11月7日  第三章ドラフト提出
2017年11月16日  米国法入門授業担当第二回
2017年11月17日  Y教授から第二章ドラフトへのコメント受領
2017年11月27日  第一章改定ドラフト及び第二章改定第二ドラフト提出
2017年11月30日  秋学期終了!

また,ドラフトにいただいたコメントの中で,一般的にも役立ちそうなものについて備忘録として列挙しておきます。

〇接続詞が二つ以上出てくるような文はわかりにくいので,二つ以上の文に分ける。
〇代名詞は,よほど文脈から明らかでない限り使わない。
〇暗示や示唆をせず,言いたいことを明確に言う。
〇さまざまな主張を並べただけだと「カタログ」になってしまうので,全体を通して何が言いたいかという「大きなストーリー」を最初に提示する。
〇問題点を述べるときには必ず具体例を出す。そうしないと,問題は理論上のものであって現実には存在しないのではないかという印象を与える。
〇アメリカの法律論文では,「X教授が〇〇と主張している」というような表現をあまり使わない。誰が主張しているのかはあまり重要ではないし,主張内容を書いて脚注に引用元を載せておけば誰の主張かわかる。
〇解決策について述べるときには,単に解決策を提示するだけでなく,どこからその解決策が来ているのか,何をどうやって解決しようとしているのかも書くべき。

以下の二点は,私の英語の悪いクセのようなものですが。。。

〇批判内容を書くときに,critisizes that . . . という書き方はしない。critisizeの後には目的語が必要なので,critisizes X on the ground that . . . とする。
〇「主張する」と言いたいときに,claimは非常に強いので訴訟での主張など限定的にしか使わない。通常はargueを使う。

冬休み中は博士論文の作業は行わず,やりかけになっていた二冊目の本の執筆を(夏休み中にはあまり進められませんでしたが)今度こそしっかり進めたいと思います。しばらくブログの更新はお休みさせていただくと思いますが,また新学期になりましたら宜しくお願いします!良いお年を!(早すぎ?)

英語のベストフォント?

英語で文章を書くときに,フォントは何がいいのか迷った経験がある人もいるかもしれません。そこで今回は,私が愛読しているAbove the Lawというリーガルニュースサイトに,「履歴書に使うべきフォントは何か?」というちょっと面白い記事が出ていたので,御紹介します。

https://abovethelaw.com/2015/05/what-font-should-you-use-for-your-resume-apparently-this-matters-to-people/

Times New Roman
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トラディショナルだが,退屈な印象とのこと。

Trebuchet
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シンプルだけどファンキー過ぎないとのこと。

Helvetica
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地下鉄の標識に使う以外はおすすめしないとのこと。雪だるまのように中身の無さを雪で塗り固めるときに使うと良いとも。

Arial
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Helveticaの模造品とのこと。

Calibri
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はっきりとしていて読みやすいが,やや退屈とのこと。ドラフトを付箋に書くくらいそっけない,とも。

Garamond
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セリフ(文字の端にある小さな飾りのようなもの)の存在が,何か面白いことが書いてあるのではないかと思わせるが,Times New Romanほど主張しすぎないので,記事の筆者としては最もおすすめとのこと。

Comic Sans
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漫画のセリフに使うには最適とのこと。

日本語に訳してもなかなか伝わりにくい内容が多いのですが,非常にウィットが効いていて面白い記事でした。私としては,法律文書やレポートは,いくら退屈であっても,年配の教授やパートナーが最も見慣れているTimes New Romanの12ポイントを使うことを,まずはおすすめします。私は使ったことはありませんでしたが,Garamondもいいかもしれません。プレゼン資料の場合は,以前の記事でも書きましたが,Times New Romanだとやや読みにくく硬い印象があるので,見やすいCalibriがおすすめです。
http://uiowasjd.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24

カレッジ・フットボール

さて,いつも硬い話題が多いので,今日は私が今最もハマっているといっても過言ではない,カレッジ・フットボールについて書いてみたいと思います。

今までの記事にも何度か出てきましたが,アメリカン・フットボールはバスケット,野球と並んでアメリカでもっとも人気のあるスポーツで,特にプロのチャンピオンを決めるスーパーボウルは,世界で最も注目されるイベントとして,日本でも有名だと思います。ただ,アメリカの一般市民レベルでは,プロよりも大学のアメフトのほうが人気が高いです。それには大きく三つの理由があります。

1.競技そのものが見ていて楽しい

とにかくパワーとスピードがすごい。オリンピック選手級の身体能力を持った大男たちが肉弾戦を繰り広げる様は,ルールがあまりわからなくても十分楽しめます。そして,一回のプレーで最大7点まで入り,30秒もあればプレーを完了することも不可能ではないため,一発大逆転のスリルがあります。記憶に新しいところでは,今年2月のスーパーボウルで,前半ファルコンズに3対28で負けていたペイトリオッツが,後半残り3分で同点に追いつき,延長戦で逆転勝利を収めました。また,今年1月の大学優勝決定戦では,文字通り残り一秒(!)でクレムソン大学がタッチダウンパスを通し,逆転でアラバマ大学に勝利しました。

ちなみに,カレッジ・フットボールで一番の注目選手は,ペンシルバニア州立大学のSaquon Barkleyです。180センチとアメフト選手では最も小柄な部類に入りますが,スクワットで240キロを挙げるほどのパワーとスピード(室伏並み)で,大柄な相手をひらりとかわし,時には引きずりながら突進します。今年のハイズマン・トロフィー(大学MVP)の最有力候補です。ルールが全く分からなくても,下記のビデオを見るとどれだけすごいかがお分かりになると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=gtBKDkgVVMY

2.各州に複数のチームがあり,自分が卒業した大学や,地元で憧れの大学など,より身近に感じられる

1の理由はプロ・大学共通ですが,プロのチームが32チームしかなく,かつ州に偏りがある(たとえばフロリダ州だけで3チーム)のに比べて,全ての州(ただしアラスカを除く)にチームがあり,地元に密着しています。たいてい近辺にライバルチームがあり,アイオワはアイオワ州立大学(多くの州で,The University of XXとXX State Universityという二つの州立大学がライバル関係にあります),ネブラスカ大学,ミネソタ大学,ウィスコンシン大学などとのゲームが特に盛り上がります。

各チームにシンボルカラー(赤,オレンジ,黒などが多い)があり,ホームゲームはたいていその色に染まります。強いチームだと,チームカラーを着た応援団が大挙してアウェーに押し寄せることがあります。わたしがJDを取った時代のバンダービルトはめっぽう弱く,ホームゲームなのに隣町(車で二時間)のテネシー州立大学の応援団でスタジアムはオレンジに染まり,かつ40-0で負けるという屈辱のゲームを観戦してしまったため,それから私はここアイオワに来るまでカレッジ・フットボールに興味を失っていました。。。

3.ランキング形式でプレーオフのチームが決まる

これもプロと異なる点です。プロは各地区ごとに勝敗数で順位を決め,上位チームのトーナメント形式でチャンピオンを決めます。これに対し,カレッジではゆるやかな地域ごとに大学が自主的にリーグを作っており,たとえばアイオワ大学は,ミシガン大学,オハイオ州立大学,ペンシルバニア州立大学など強豪ぞろいのビッグテン(実際は14校なのですが)に所属しています。他にも,南部のSEC,西海岸のPac-12,東海岸のACCなど,全国にたくさんのリーグがあります。もちろんアイビーリーグというのもあるのですが,残念ながら六大学野球の東大のような(失礼)弱小チームぞろいで,選手の体も一回り以上小さく,強豪チームと(は試合をしませんがもし)やったら死人が出るレベルです。

それならリーグの優勝チーム同士で全米チャンピオンを決めるのかというと,そうではないところにミソがあります。全米チャンピオンを決めるためのプレーオフは4チームで争われるのですが,地域リーグが多数あり,かつリーグのレベルが異なるので,「プレーオフ委員会」という組織が作る25位までのランキングをもとに決めているのです。

ランキングを決める基準は必ずしも明らかにされておらず,単純な勝敗やリーグの順位も加味されるのですが,どのチームにどのタイミングで勝ったか負けたか,一チーム全12試合のうちどれだけ強豪と戦ったか,パス成功率や守備率などどれだけ数字が高いかなどを総合し,最終的には委員会の議論で決めるのです。順位は毎週変動し,たとえば先週ランキング6位のオハイオ州立大学に歴史的大勝利を収めた我がアイオワは,ランク外からいきなり20位に躍進しました。上記のように,かなり主観的な基準でランキングが決まるので,テレビや街中でも「こっちのほうが上だ,いや,こっちだ」などと毎日のように議論がなされています。カレッジ・フットボールは,アメリカにおける甲子園のようなものかもしれません。

オハイオ州立大学に55-24で大勝し,ゲーム後フィールドになだれ込むファンたち
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(Source: USA Today)

それでは最後に,クールな音楽にのせたカレッジ・フットボールのプレーハイライトをお楽しみください。
https://www.youtube.com/watch?v=x7JzbMskw88

ワークショップ

私がSJDに入ってよかったなと思うことの一つに,様々なワークショップに参加できるということがあります。ワークショップとは,簡単に言うと,お互いの論文や研究について発表してコメントしあう場のことです。SJDプログラムの一環として週一回集まって学生同士(プラス指導教授)で行うワークショップに加え,私の指導教授の勧めでいくつか本校の教授が主催するワークショップにも参加させてもらいました。

ワークショップには多くのメリットがあります。

〇 小規模のそれほどプレッシャーがかからない環境で発表できる
〇 自分の論文・研究について,客観的な視点を持たせることができる
〇 専門以外の分野についても,一通りの理論や最新の論点を学ぶことができる
〇 他人の論文・研究の欠点を,他山の石として自分に活かすことができる
〇 良いコメントやサポートをすると,非常に感謝される
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もちろん全く興味がわかないテーマだったり,特に学生だと論文や研究のレベルに問題があったりといったこともあります。ただ,そんなときでも,いかに興味がないか,いかに駄作かといったことを表には出さずに,オブラートにつつみながら役に立ちそうなコメントを英語でする,という非常に繊細なテクニックを身に着けるための訓練だと思えば楽しいものです。

ところで先日,ワークショップとは別に,私のSJDコミッティーメンバーの一人のD教授から一対一で指導を受ける機会がありました。ブログでは書きませんでしたが,実は一年目終了時に,メンバーの一人のO教授が「自分の専門領域から考えて自分はこれ以上の貢献ができない」といってメンバーを辞任するという事件がありました(R指導教授は,何をいまさら,と大変お怒りでしたが)。その代わりとして,今年アイオワローに採用された若手のD教授がメンバーになったのです。

D教授(正確にはAssociate Professorなので日本でいう准教授)は,ロースクール不動のトップのイェールを卒業後,連邦高裁のクラークを務め,ニューヨークの超一流ファームで働き,さらに最近哲学の博士号まで取得したという,まあ典型的なエリートです。ロースクールの教授陣,とくに最近の若手にはこういった人がゴロゴロいます。

ミーティングの前は,せっかく去年第一章まで承認されたのに,全てをひっくり返すようなコメントをされたらどうしようと不安でした。実際には,大量のリサーチや書き換えまでは要求されず、どちらかというともう少し深く考えるべき点を中心に、非常に鋭く有益なコメントをいただきました。(多分私よりかなり若いのですが)やっぱりすごく頭がいいなと感心しつつ,「空気が読める」こともエリート教授の大事な条件なのだなと思いました(えらそうですみません)。

そしてD教授は,「先日参加したワークショップの論文で,君の論文に関係してて面白そうだから読んでみなさい」といって論文を紹介してくれました。その論文を書いた某ロースクールのA教授は,実は私の研究分野の一つのテーマについて近年多くの論文を発表しており,たまたま私が個人的に注目していた教授でした。

A教授の論文の中で日本の法制度について言及されており,いくつか正確ではない点があったのでD教授に指摘したところ,早速A教授とコンタクトをとってくれました。その後すぐに、A教授から,いくつか具体的な質問とサポートの要請があるとともに,来年開催される南部ロースクール連合開催のワークショップ参加のお誘いをいただき,ああこうしてだんだん世界が広がっていくんだな,と妙な感心をした次第です。

最終章ドラフト提出

ロースクールでは12月に入ると期末試験が始まりますが,試験を受ける必要がないSJD生にとっては,その前の11月で今学期が終わるイメージがあり,私もラストスパートに入っています。

先日二つ目の章について指導教授の承認をいただき,私のSJDコミッティー(二人の別の教授を含む)のレビューに回りました。指導教授が忙しい方で二つ目の章のレビューに時間がかかっていたため,三つ目の章,つまり最終章のドラフトも着々と進めており、そして今日,最終章のドラフトを指導教授に提出することが出来ました。

これでドラフトは全て私の手元からは離れ,あとは教授陣のコメント待ちの状態です。まとめると,

第一章:SJDコミッティー承認済(今年4月)
第二章:指導教授承認済(今年10月),SDJコミッティー承認待ち
第三章:指導教授承認待ち

という状態です。あとは第二章と第三章についていただくコメントを粛々と反映しつつ,既に作成済みの序章(イントロ)と結語(コンクルージョン)の微修正と,三つの章のがっちゃんこ(重複部分の調整など)をすれば,Dissertationは完成ということになります。

SJD取得には,さらに公開プレゼン(コミッティー以外の教授など)の実施と口述試験合格という二つのハードルを越える必要があります。これから期末にむけて教授はさらに忙しくなりますし、一つの章が30,000語以上(A4で80枚前後)と、自分で読み返すのも苦痛なぐらい長いので、どうやら今学期中のSJD取得は難しそうです。まだ未確定要素も多いですが、とりあえず自分で出来ることは一段落といったところです。

さあ落ち着いたのでゴルフでもやるか,と思ったのですが,アイオワは既に厳寒期に入り,寒風が外出する気を激しく削いできます。しかたないので,第二回の授業準備、某雑誌で始まった不定期連載やだいぶ手付かずになっていた教科書第二弾の執筆などをすすめましょう。。。
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担当授業 第一回

さて,先日,指導教授が担当している週一回の「アメリカ法入門」の二回分だけを担当させてもらうとお話ししましたが,本日がその第一回目の授業でした。生徒はJ.D.及びLL.M.の留学生,交換留学生,客員研究員などすべて外国人で,非常に小さなクラスのため,大教室でのJ.D.向けの授業に比べると大分スケールは小さいかもしれませんが,それでも「英語で授業」は初めての経験だったので,十分に準備をして臨みました。

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私が選んだテーマは,「米国法の域外適用」で,2010年の有名な最高裁判決Morrison v. National Australian Bankを題材にしたものです。学生が全てノンネイティブであるため,スライドを使って,複雑な法律関係や概念を出来るだけシンプルに説明するよう心掛けました。また,学生にはあらかじめ判決文を抜粋したものを読んできてもらい,基本的にソクラテスメソッドという問答形式で進めました(ただし,答えを導くような「ソフトソクラテスメソッド」で。)。

具体的には以下のような流れで授業を行いました。

〇 つかみとして,2009年に証券詐欺で懲役150年の実刑を受けたMadoffの写真を出して,証券詐欺と詐欺防止条項について説明
〇 本日の授業のメイントピック3つの概説と自己紹介
〇 Morrison判決の事実関係,手続的経緯,域外適用の基準などについて問答
〇 多数意見(Majority)のスカリア判事と同意意見(Concurrent)のスティーブンス判事の対比
〇 Morrison判決後すぐに改正された法律と,その法律が「実際には存在しない問題を解決しようとしている」という問題

これまで日本のロースクールで5年間授業を担当し,国際会議などで英語でプレゼンする機会も多々ありましたが,英語で行う授業というのは全く別ものでした。アメリカに来てからは基本的に自分のペースで好きなことだけをしているのであまり疲れたという経験はなかったのですが,たった一時間程度の授業でもへとへとになってしまいました。

次回は来月,「民事手続と行政手続の違い」というより複雑なテーマなので,いかにわかりやすくするか,そして今回は少ししかとれなかった「笑い」をいかにしてとるか,が課題です。また,まだ実現するかどうかわかりませんが,指導教授からフルの授業(週一回かまとめて一週間で行うような授業)ができないかロースクールに掛け合ってみるので授業案を作ってみてはどうかという有難い助言をいただいたので,こちらも挑戦してみようと思います。

P.S. 昨日からトイレの水が流れなくなってしまい,何とか自力で修理したのですが,また流れなくなってしまいました。今日はもう疲れたのであきらめて寝ます。。。

アドミッション・インタビュー

SJDプログラムでは,毎週一回一時間ほどのワークショップがあり,お互いの研究についてディスカッションしたり,教授から研究・論文作成についてのアドバイスをいただいたりしています。今週は私の担当で,主要三章のうち(一章は昨年完成済み)の一つについて,教授や他のSJDの学生の前で発表しました。何箇所かもう少し明確に自分の意見を書いたほうがよいと指摘を受けた部分はあったものの,全体として良い評価をいただき,本章も無事に完成しそうです。

さて,今回はアイオワロースクールやSJDとは全く関係ない話なのですが,最近Vanderbilt Law School(以下「VLS」)の卒業生としてインタビューを何度か行ったので,少しそこでの経験について書いてみたいと思います。VLSのJDプロブラムでは入学試験の一部として,エッセイ・履歴書・成績・LSATのスコアに加えて,希望者にインタビューを行っています。ちなみに,ビジネススクールではインタビューが一般的に行われているようですが,まだロースクールでは珍しいようです。JDの卒業生はアメリカ・世界各地で働いており,インタビュアーとしてVLSに登録しておくと,その地域に住んでいる入学候補者が振り分けられる仕組みです。

私が日本にいたときも,日本に住んでいるアメリカ人(ごくまれに日本人)のインタビューをすることが年に1・2回ほどありました。今年はアイオワで既に4人のインタビューをしています。インタビュー自体は30分程度,「なぜ弁護士になりたいか」「なぜVLSに行きたいか」「卒業後何をしたいか」「VLSの多様性にどう貢献できるか」といった基本的な質問に加え,履歴書に基づいて職歴や経験について聞きます。

こちらはインタビューをする側なので,インタビュー自体はそれほど難しくないのですが,終わった後にVLSに提出する評価の作成に苦労します。数段階の評価から選ぶ項目と,コメントを記述する項目があり,前者はすぐにできますが,後者について書くべきことを見つけるのが大変なのです。というのも,入学候補者のほぼ全員が現役の大学生で,ロースクールを目指すくらいなので成績は押しなべて良いものの,ユニークな経歴や経験(特に法律関係)がほとんど無いのです。そして,「なぜ弁護士になりたいか」と聞いても,具体的なストーリーが無く,いま勉強している分野(例えば化学)にあまり興味が持てないからなどという消極的な理由が多いのです。

一方で,インタビューする立場からすると,以下のような点は高評価につながると思います。

〇 なぜ弁護士になりたいかが,具体的・明確
〇 法律関係の仕事や法律問題(日常の小さなものでも良い)に係わったことがある
〇 VLSについてある程度下調べをしており,なぜ応募しているかが具体的・明確
〇 履歴書に書いてあることについて,全てわかりやすく説明できる
〇 インタビュアー(私)について下調べしており,それに沿った質問ができる

ストーリーが具体的であればあるほど,インタビュアーの納得度も高くなると思います。また,下調べなんてする必要があるのかというご意見もあるかもしれませんが,今の時代ネットで検索すれば(例えば私の名前+Vanderbilt)様々な情報が入手できますし,それだけ熱意を示すことができるはずです。

来週はいよいよ,指導教授が担当する「米国法入門」の授業の一クラスを担当させてもらうことになっています。準備がなかなか大変ですが,とても楽しみでもあります。

アイオワ・シカゴ観光

この一週間ほど日本から家族が遊びに来ており,アイオワとシカゴで観光しました。シカゴはともかく日本からアイオワまで来る人も少ないとは思いますが,こんなことができますよということで少しご紹介したいと思います。

① アイオワ

【Wilsons Orchardでリンゴ狩り】

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そのまま食べても,アップルパイにしても美味!

【Go Hawkeyes!】

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今日はBlack & Gold DayでBlackの席なので皆で黒ティーを。

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「テールゲート」ではハンバーガーやホットドッグが無償で配られています。

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試合は強敵Penn Stateを追い詰めるも,最後の1秒で逆転されてしまいました。

【Tanger Outletで買物】

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車で30分ほど。けっこう充実してます。

【Clear Creek Trailを散歩】

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家から5分でこんな自然が。

② シカゴ

【Boat Tour】

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Wendella社の,90分でシカゴの高層ビル群とミシガン湖を回るコースがおすすめ。

【John Hancock Centerからの夜景】

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95階のレストランからの眺望です。

【シカゴホットドッグ】

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個人的には分厚いビザよりも具沢山のホットドッグのほうがおすすめ。

【アート巡り】

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シカゴは美術館もたくさんありますが,街もアートにあふれています。

この一週間ほど記録的な猛暑が中西部を襲い,連日30度越えの暑さでした。ニュースによるとユタやアリゾナ(!)では既に雪が降ったとのこと。アメリカは広い。ちなみに今日のアイオワは最高気温が20度,夜は寒いくらいですっかり秋めきました。

SJDの日常その2

さて、第二章のドラフト提出を終えて少し余裕が出来たので、研究をしている以外の時間は何をしているのかについて書いてみたいと思います。

「一日どのくらい研究しているの?」と良く聞かれることがあります。人によってスタイルは異なると思いますが、私の場合、できるだけ普通に働くのと同じような生活をするようにしています。つまり、平日は朝から夕方までランチを挟んでだいたい7・8時間程度研究に携わり、平日の夜や休日はよっぽどのことがない限り研究はしません。効率良く長く続けるためにこのスタイルにしています。ほとんど残業がない「ホワイト企業」に勤めているイメージでしょうか。おかげさまで老化の兆しは見られるものの体調はすこぶるいいです(「たいちょう」を変換しようとすると一つ目に「対朝」が出てくるのはご時世でしょうか・・・)。

「研究以外は何をしているの?」これも良く聞かれます。いたって普通の生活だと思いますが、いろいろなことをしています。この一か月くらいはこんな感じです。

1.The Good Wifeを見る

アメリカのTVドラマシリーズで、ロースクールの図書館でなんとなく手にして見てみたのですが、あまりに面白くてはまりにはまっています。シカゴの検事総長の妻で長年主婦をしていた元弁護士が主人公で、夫の買春スキャンダル・逮捕を機会に弁護士事務所に復帰して大活躍する物語です。「24」のように,毎回次から次へと難題や(知的な意味での)強敵が襲ってきて,この後はどうなるのかとハラハラさせます。今見ているシーズン6ではとうとう自ら検事総長に立候補しました。夫も復活して州知事になりさらに大統領まで目指していますが,相変わらず下半身はどうしようもなくだらしないままなのが笑えます(セックスアンドザシティでMr.ビッグを演じた役者です)。

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(出典:cbs.com)

2.各種スポーツをテレビ観戦する

アメリカはアメフト・野球・バスケ・ゴルフ・テニスなどのメジャーなプロスポーツコンテンツが豊富ですし、近年では松山の大活躍をリアルタイムで見られます(錦織はどうなってしまうのでしょうか)。毎週土曜日はカレッジフットボールデーで、我がアイオワ・ホークアイズの試合を観戦します。また、ヨーロッパの夜はアメリカの昼なので、プレミアリーグ、ブンデスリーガ、チャンピオンズリーグなどのサッカーも楽しめます。

今週末はチケットが手に入ったのでホームゲームを見にスタジアムに行きました。今日は「All Gold Day」なので全員金色(黄色)で集合!試合も北テキサス大学に31対14で快勝!
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3.ゴルフ

アイオワ大学が所有するFinkbine Golf Course (http://www.finkbine.com/),私が住むコーラルビル市が所有するBwown Deer Golf Club (http://www.coralville.org/510/Brown-Deer-Golf-Club)と,どちらも家から10分程度のところにあります。土日はそれなりに混みますが,平日は予約無しで一人でも回れますし,歩きで9ホール20ドル,18ホール30ドル程度と格安ですので気軽に楽しめます。VanderbiltのJ.D.三年生時は就職も決まっていたので,ゴルフクラブの年間パスを買って週5でプレーしていた私ですが,今は研究生活が中心なので,気が向いたときにたまーに行く程度にしています。

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コース上をカモが優雅に散歩

4.SJD同士で会食する

昨年同級生だったウガンダ人D君は奥さんの留学に伴ってワシントンD.C.に引っ越してしまいましたが,現在のSJDレジデント(在校生)は三年目で中国人のJ君,一年目で韓国人のW君とトルコ人のM君と,少ないながらもバラエティに富んだメンバーで週一程度で集まって語らっています。

研究以外のほうが忙しいのではないかと叱られそうですが,研究は何かと孤独・単調な作業になりがちなので,色々と気分転換を図りつつ効率的に研究しているということでお許しください・・・。
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