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ロースクールの選び方

1月以上と長かった冬休みも終わり、先週から春学期が始まっています。先日は、指導教授と久しぶりにお会いして、今後の進め方などを相談しました。冬休みの間はあまり研究が進みませんでしたので、自分にプレッシャーをかける意味でも、一つの章のファーストドラフトを3週間以内に提出することを約束しました。なお、論文は大きく三つの章から成っており、S.J.D.の1年目には,少なくとも一つの章のドラフトを完成させなければいけません。

私の話はさておき、このブログを読んでくださっている奇特な方の中には、今年の夏又は近年中の留学を目指している方もいらっしゃるかもしれません。本日は、「どのロースクールに行くべきか」を考えるにあたってのヒントについて書いてみたいと思います。なお、私のようにJ.D.を取得してアメリカ弁護士として働くのではなく、LL.M.を取得する弁護士や法務部員の方を念頭に置いています。

1. ランキング

たぶんほとんどの留学生は、U.S. Newのロースクールランキングをもとに、どのロースクールに行くかを決めるのではないでしょうか?

http://grad-schools.usnews.rankingsandreviews.com/best-graduate-schools/top-law-schools/law-rankings

もちろんランキングが良いことには、就職率が良い、周りの学生が優秀(少なくとも大学の成績が良い)、有名な教授がいるなど、それなりの理由がありますので、ランキングを無視するべきではありません。また、例外はありますが、上位校は日本でも大抵名前が知られていますので、「〇〇(例えばアイビーリーグ)に留学します」というと「へー(すごい)」という反応が心地良いこともあるでしょう。

わたしもかつてJ.D.を受験したときには、ほとんどランキングしか気にしておらず、最初はトップ10校の全てに不合格になり、慌てて他の学校に応募してVanderbiltに拾ってもらった経緯があります(詳しくは下記ブログ記事をご参照ください。)。

http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/2007-02-10

「Vanderbiltに留学します」というと、だいたい「へー(それどこ?)」という反応が返ってきて残念な気持ちになったことを思い出しますので、ランキングや(日本での)知名度を重視する気持ちは良くわかります。ただ、実際に留学して、そして今は2校目の留学をしていて感じるのは、以下の2と3を重視したほうが良いのではないかということです。

なお、J.D.を取得してアメリカで働く場合には、ランキングが高ければ高いほど就職に有利かつ卒業後の選択肢も広がりますので、ランキングを最優先するべきです。わたしがJ.D.を取得したVanderbiltは、ランキング16位と決して低くはありませんが、もしより上位の学校に行けていたらクラークシップなどの道も拓けていたのではないかと、いまだに思うことがあります。

2. 都市

ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルスなどの大都市にある学校を希望される方が多いようですが、個人的には田舎の学校をおススメします。大都市には出張や旅行などで行くチャンスが多いと思いますが、田舎のいわゆる「古き良きアメリカ」での生活は留学でもしないと出来ません。生活費(特に住居費)も2倍から4倍近く変わる可能性があります。たぶん毎日学校に通うことになると思いますので、通学時間もばかになりませんが、田舎であればキャンパスの中や10分程度の場所にリーズナブルに住めるでしょう。さらに、大都市だと、「キャンパス」とは名ばかりのビル群で、なんとも味気ないものです。

大都市でないと楽しみが少ない、と思われる方も多いでしょう。しかし、よほど語学に堪能でないかぎり、学期中は相当忙しくて遊ぶ時間はほとんど無いと思います。その分長期の休みに旅行をすればよいのではないでしょうか。また、日常のちょっとした楽しみであれば、価値観にもよりますが、その地方や大学ならではの楽しみを見つけられると思います(我がIowaについては、以下の記事をご参照。)。私は、働いていたニューヨークよりも、いまいるアイオワシティー、そしてそれよりもVanderbiltのあるナッシュビルのほうが好きです。

http://uiowasjd.blog.so-net.ne.jp/2016-09-19

もう一点、見落としがちですが、実は気候も大きな要素です。LL.M.は実質9月~5月ですので、夏の暑さはそれほど気にする必要がありませんが、多くのロースクールがとても寒いところにあることに注意が必要です。寒いと何かいけないのかというと、室内は暖かいので問題ありませんが、外に出たくない、学校に行きたくないという気分になってしまうのです。寒いところにある学校は自殺率が高いと聞いたこともあります。そういう意味では、西海岸や南部にある学校がおススメです(正直、アイオワシティーも真冬はマイナス20~30度にもなる極寒地帯にありますので、この点だけはネックです。)。

3. サポートスタッフ

留学すると、とにかく困ることが多いと思います。留学の立上げ、日常生活、学校生活などのあらゆる点で、細々とした問題が多々発生します。交通事故や犯罪に巻き込まれた留学生の話を聞いたこともあります。そうしたときに、親身になって相談できるような専任のスタッフがいるととても助かります。LL.M.担当の教授しかいない場合、もちろん人によるとは思いますが、一般的に教授は授業や研究で忙しいので、あまりサポートは期待できないかもしれません。

一つの方法として、合格通知をくれた人に疑問をぶつけてみることや、最近の日本人卒業生を紹介してもらうことが考えられます。そこでの対応姿勢や内容で、留学してからどれだけサポートを受けられるかがなんとなくわかると思います。この点、Vanderbiltには、もはや伝説レベルのスーパーウーマンのCynthiaがいます(下記ご参照。)。ちなみに、Iowaでは春学期から新しい担当者に代わったばかりなのですが、もともとガーナからの留学生でJ.D.を取得しているので、留学生の事情を良くわかってくれそうです。

http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/2006-09-24

4. 学びたい科目、教授

よく、「自分の専門は〇〇法で、この学校にはその分野に強いから(又は、有名な〇〇先生がいるから)」という理由も聞きます。これは決して間違いではありませんし、エッセイなどの出願書類には書くべきですが、学校選択にあたっては,実際のところそれほど重要ではないと思います。その分野の研究者になるのであれば、「〇〇ロースクールで〇〇先生の指導を受けた」ことに意義があるのかもしれませんが,国際法、会社法、知的財産法など,よっぽど特殊な分野でなければ、どのロースクールでもそれなりに学べるはずです。一方,その分野の第一人者であっても、教え方がうまいとは限りません。

一年間で取れる授業の数は限られています。単位数にもよりますが、せいぜい6~8科目程度ではないでしょうか。もしある分野について学びたいのであれば,ロースクールの授業を受けるよりも,自分で専門書を読んだほうが効率的です。多くの方にとって,ロースクールで授業を取る意義は,ライブの環境で英語を学ぶということにあるのではないでしょうか。ものすごくつまらない授業もけっこうありますし、そんな授業のために数か月間を費やすのはもったいないです。毎年教え方のうまい先生を学生が選んで表彰する制度がありますのでそれを参考にして,あまり分野にはこだわらず面白そうな授業を履修されると良いのではないかと思います。