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4月27日記事追加 「SJD一年間の総括」を追加しました!

私は,2016年夏からアイオワ大学ロースクールUniversity of Iowa College of Law)の法学博士課程(S.J.D.)に在籍して研究をしています。もともとはニューヨーク州の弁護士(さらに元をただせば日本のサラリーマン)で、アメリカ系弁護士事務所や日本の政府機関などで働いていました。アイオワでの研究生活ということで,とてもニッチな話題が多くなり、また、不定期での更新になってしまうと思いますが、お付き合いいただければ幸いです。

SJD一年間の総括

先日、SJD Committeeにて最初の大きな章(第三章)のドラフトが承認され、めでたくSJD Candidateになりました。これはどこの学校でもそうだと思うのですが、SJDを取得するためには、入学後の一定期間(本校では一年間)に要件を充たしてSJD Candidateという「SJDを取得するための資格」を取らなければいけません。そして今後5年以内にペーパー(Dissertation)を完成させて口述試験に合格すれば、晴れてSJDを取得することが出来ます。

研究を始めたのは、去年の8月でした。期末試験の無い我々SJDは,4月末に一年目を終えます。途中に約一か月半の冬休みがあったことを考えると、研究していたのは実質7か月、本当にあっという間の一年目でした。夏休みには一旦東京に戻り、ロースクール非常勤講師や各種研修・セミナーの講師などをして過ごしつつ、かねてから温めていた教科書第二弾の(今度は英語で)執筆にとりかかろうと思っています。

自分の備忘録を兼ねて、この一年の流れを以下のとおりまとめてみました。前にもお話しましたが、このSJD Candidateになるための要件は、四つの書類(Proposal, Outline, Literature Review, One Main Chapter)を提出して承認を受けることです。指導教授のライツ先生との会合は不定期で、1・2週に一度程度、ライツ先生を含む3人の教授で構成されるSJD Committeeとの会合は年に三回でした。

2016年8月22日  秋学期開始
2016年9月2日   第一回SJD Committee
2016年10月4日  Proposal & Outlineドラフト提出
2017年10月25日  SJD Workshopにおける第一回プレゼン
2016年11月4日  第二回SJD Committee、Proposal & Outline承認
2016年11月8日  Literature Reviewドラフト提出、第三章執筆開始
2016年12月1日  秋学期終了
2016年12月12日  Literature Review承認
2017年1月17日  春学期開始
2017年3月2日   第三章ドラフト提出、第四章執筆開始
2017年3月21日  第三章改定ドラフト提出
2017年3月23日  SJD Workshopにおける第二回プレゼン
2017年4月14日  第五章執筆開始
2017年4月21日  第二回SJD Committee、第三章ドラフト承認
2017年4月30日  春学期終了

通常Dissertationは、少なくとも三つの大きな章プラスIntroduction, Background, Conclusionなど短めの章で構成されます。人によっては、Literature Reviewを一つの章にする場合もあります。私の場合、大きな章が三つあるのですが、最もイメージが沸かない、書きにくい章から始めました。そのため、執筆開始から最終ドラフト完成まで、当初の予定よりも長い3か月近くがかかってしまいました。来学期もアイオワで過ごすことに決めたので、長くともあと一年、できれば半年でDissertationを完成したいと思っています。

研究の過程で、教授と何度も議論を重ねるとともに、他の学生が書いたものも含めて数多くの玉石混淆の論文を読んできました。その中で感じたのは、「良い論文」は「読みやすくわかりやすい論文」であるということです。「読みやすいが中身の無い論文」はあったとしても,「何が書いてあるのかわからない良い論文」というのは考えにくいです。こちらも備忘録として、「良い論文」に共通している要素をまとめてみました。

• 既存の研究には何が足りないのか(Gap)、本論文がいかにしてそのGapを埋めるのか(どこにValueがあるのか)を明示している。
• Introductionに限らず、常にロードマップ(これからどこに向かうのか)を明示している。例えば、判例を紹介するのであれば、その判例によって何を示したいのかをあらかじめ述べる。
• 抽象論に終始せず、具体的な例を示す。
• 一文一文が短い。セミコロンでつながっている文章は、まず間違いなく二つの文に分けたほうが良い。
• パラグラフも短い。そして前後のパラグラフとの繋がりが明確である。
• 定冠詞、単数複数を含め、文法上の間違いが無い。こうした間違いがあると、そちらに気をとられて内容が頭に入ってこない。
• 専門用語、外国語、省略語が少ない。避けられない場合は、用語集を別途作るか少なくとも脚注に説明を入れる。全く説明なくイスラム法の用語を羅列してある論文を読んだときには、一ページ目で読む気をなくしました。この例は極端だとしても、読者に手間をかけさせないような工夫は重要です。
• 文脈から明らかでない限り、He, She, They, Thatなどの代名詞を使わない。
• 脚注をおろそかにしない。参照論文のどこを、なぜ、どのように参照しているのかを明確(ブルーブッキングも正確)にする。
• 書く範囲を広げすぎない。どうしても触れる必要性がある場合、“beyond the scope of this paper”という決まり文句を使って、「重要ではあるが、本論文の対象範囲を超えている(ので次回以降の研究課題としてふさわしい)」ことを示す。

こうして並べてみると,なんだ当たり前のことばかりじゃないか,と思われるかもしれません。ただ,数万語に及ぶ長い論文でこれらの点を全てクリアするには,推敲に推敲を重ねなければならないので,非常に時間がかかります。とても地道な作業ですが,仕事から離れて好きなことに集中できたことの幸せを感じています。

英語プレゼンのコツ

先日,アイオワの国際関係協会の依頼でプレゼンをしてきました。聴衆は100人ほどで,大学教授,会社員,専業主婦,引退された方など様々なバックグラウンドの方々でした。そのため,私の専門の米国法ではなく,「武士道と現代日本」という一般の方にも興味を持ってもらえそうなテーマにしました。

このようなプレゼンをするメリットには,もちろん顔を売る,履歴書に幅を持たせるといったこともありますが,何よりも自分の勉強になります。今回は特に全く専門外のテーマだったため,あらためて新渡戸稲造の「武士道」を読み返したり,武士道に関する論文・記事を読んだりと,かなりの準備が必要でした。それでも,「女性の社会進出と武士道はどう関係するのか?」など難しい質問に苦労する場面もありました(「関係ないよ」とは口が裂けてもいえません。)。また,「アメリカよりも日本のピッチャーが長いイニングを投げるのは武士道からきているのか?」といった独特の視点からの質問もありました。

日本語英語を問わず,プレゼンを苦手としている人は多いと思います。プレゼンには経験を積むことも重要ですが,ちょっとしたコツを知っておくことで,はるかに効果的になると思います。そこで今回は,私がプレゼンをするときに気を付けていることについて簡単にまとめてみました。

1. 準備編

(1)プレゼンの「定型」を守る

これは論文でもそうなのですが,必ず「序論」「本論」「結論」という三部構成を守ることが重要です。そして「本論」では,どんなに言いたいことがたくさんあったとしても,ポイントを3つ以下に絞ります(この「まとめ」でも,ポイントを3つにしています。)。

ご参考までに,今回のプレゼンの本論は,以下のように前半後半それぞれ3項目で構成されています。
presen.png

(2)導入と結論で印象付ける

いくら「本論」がよくても,始めと終わりの印象が悪いと,全てが台無しになります。導入の「アテンション・ゲッター」のテクニックとしては,いきなり質問から始める,具体的な事例から入る,偉人の名言を借用するといったものがあります。また,全体の構造をここで示すことも重要です。結論でも,導入部の質問や事例に結びつけたり,名言で終えたりすることによって印象付けられます。

(3)見やすい資料を作る

ときどき文字で埋め尽くされたパワーポイントを見ますが,絶対に聴衆はついてこられません。英語のお勧めフォントはCalibriで,できるだけ大きなフォントで,1ページに12行程度が限界だと思います。イラストや図は効果的ですが,使いすぎないこと。おすすめは「いらすとや」さんのフリー素材で,私も大変お世話になっています。
http://www.irasutoya.com/

2. 練習編

(1)暗記をしない

暗記をしてしまうと,プレゼン中に忘れたらそれで全てがおしまいです(プレゼンではないですが,私はピアノの発表会中に頭が真っ白になって完全停止したことがあります。)。

(2)資料を読まない

暗記をしないこととも関連しますが,自分が理解していないことや,用意してきた原稿をただ読むだけでは,聴衆には絶対に伝わりません。下を向いていると,聴衆の反応もわかりません。パワポを印刷したものに,大きな字で簡単なメモをするくらいがいいと思います。

(3)録画してみる

録音された自分の声を初めて聴くと衝撃ではないでしょうか。それと同じで,録画してみると自分では気づかない,たとえば姿勢が悪かったり体が揺れたりなど,様々な癖に気づくことが出来ます。

3. 実践編

(1)常に道案内をする

英語には効果的なtransition wordsがたくさんあります(たとえば,first, in addition, in summaryなど)。これらを使うことによって,聴衆は次に何が来るのかを予測することができます。また,冒頭で示した全体構造のどこにいるのかをときどき示すとよいと思います。

(2)聴衆を見ながら行う

聴衆と常にアイコンタクトしながらプレゼンすると,聴衆がどれだけ理解しているか,退屈してるかなどが良くわかります。その意味でも,資料をあらかじめ配布してしまうと聴衆が下を向いてしまうので,注意が必要です。

(3)時間を絶対に絶対に絶対にオーバーしない

「プレゼンで一番重要なことは何か?」と聞かれたら,私は「時間通りにきちんと終えること」と答えます。終了予定時間をオーバーしてしゃべることは,聴衆と主催者に大きな迷惑をかけ,せっかくのプレゼンの印象を台無しにします。「時間があれば話す用」のスライドをいくつかはさんでおくと,時間調整に効果的です。

それでは最後に,Stephen Keagueという方の名言をご紹介したいと思います。

No audience ever complained about a presentation or speech being too short. (プレゼンやスピーチが短すぎるといって不平を言う聴衆はいたことがない。)

リーガルジョーク10選

今週は,教授とマンツーマンでファーストドラフトについての協議を行い,教授のコメントを反映したドラフトを提出することができました。また,別途作成していたコンテスト応募用の論文(ファーストドラフトの内容に,これからとりかかる二章分の概要を反映させたもの)も無事完成しました。来週のSJDワークショップでのプレゼンが終われば,一週間の春休みです。JD時代は勉強一色でしたが,SJDでは少し余裕があるので,ちょっと遠出でもしてみようかと思っています。

さて,前回映画のベスト10をご紹介したので,今回はリーガルジョーク・ベスト10です。アメリカにおける弁護士はアンビュランス・チェイサー(救急車を追いかけて名刺を配る,最底辺の弁護士の意)やシャーク(がめついことから)などと揶揄されることも多く,弁護士に関するジョークがたくさんあります。
kyuukyuusya_hansou.png

その中から,私のお気に入りのリーガルジョークを,Q&A方式でご紹介しようと思います。なお,こちらのサイトを参考にしました。下品過ぎてこちらには載せられないジョークも数多くあります。
Lawyer Joke Collection, http://www.iciclesoftware.com/LawJokes/IcicleLawJokes.html

Q: 電球を取り換えるのに弁護士は何人必要か。
A: 三人。一人は脚立に上る。もう一人は脚立を揺らす。そして最後の一人は脚立メーカーを訴える。
(まさにマッチポンプ(これは和製英語)ですね。)

Q: 弁護士と,ボクシングのレフリーの違いは何か?
A: ボクシングのレフリーは,戦いが長引いても給料が増えない。
(弁護士は時間あたりで報酬請求するので,交渉が長くなればなるほど多く請求してくることを皮肉っています。)

Q: 弁護士が集まるパーティーで,笑顔を振りまき礼儀正しい,しらふの人物とは誰の事?
A: ウェイター。

Q: 弁護士(lawyer)と嘘つき(liar)の違いは何か?
A: 発音。
(弁護士が嘘をついているのはどんなときか?唇が動いているとき。というジョークもあります。)

Q: 蚊と弁護士の違いは何か?
A: 一方は人の血を吸う寄生虫で,もう一方は昆虫である。

Q: なぜニュージャージー州はすべての廃棄物処理場を受け入れ,カリフォルニア州はすべての弁護士を受け入れたのか?
A: ニュージャージー州が先に選ぶ権利を持っていたから。
(カリフォルニア州はニューヨーク州と並んで弁護士が最も多い州です。)

Q: なぜサメは弁護士を襲わないのか?
A: 職業的敬意(professional courtesy)を払っているから。
(個人的には簡潔で最も好きなジョークなのですが,professional courtesyがちょっとわかりにくいかもしれません。まあ同類とみなしているということですね。)

Q: 溺れかけている弁護士を救うにはどうすればよいか?
A: 弁護士の頭を踏みつけているあなたの足をどける。

Q: 自転車に乗っている弁護士を車で轢かないほうがよいのはなぜか?
A: それはあなたの自転車かもしれないから。

Q: サンタクロース,妖精,正直な弁護士,前後不覚の酔っ払いが道を歩いていて,1万円札を見つけた。拾ったのはだれか?
A: 酔っ払い。それ以外は想像上の産物であり実在しない。

それでは最後にもう一つだけ。
Q: 弁護士に関するジョークは世の中にいくつあるか?
A: たったの三つ。あとはすべてジョークではなく事実である。
お後がよろしいようで。

リーガルムービー ベスト10

1月はマイナス20度にも達する寒さのアイオワシティーでしたが,2月に入って,(プラス)20度近くまで気温が上がるという,アイオワとしては「記録的な」暖かい日が続いています。

SJD生活のほうはといいますと,やっと1章分のファーストドラフトを教授に提出することができました。また,ファカルティ・ワークショップという,教授たちが論文ドラフトについてお互いにコメントしあうというイベントにも参加させてもらい,自分も何かしらコメントしなければいけないため準備が大変でしたが,教授陣の思考回路や文章の書き方に身近に接することができて大変有意義でした。

今後は,(ファーストドラフトを手直しして)論文コンテストへの応募,アイオワ国際協会でのスピーチ(「武士道と現代日本について」!),SJDワークショップでの論文内容プレゼンなどを予定しています。また,他章のドラフトも書き始める必要がありますが,ファーストドラフト提出でSJD1年目に最低限必要な作業がほぼ終わり,とりあえず一息ついたところです。

さて,本日のテーマは,「リーガルムービー ベスト10」です。留学を予定又は希望されている方から,「留学前にどんな準備をしたほうがいいですか」と聞かれることがよくあります。もちろん,留学前から授業の予習やNY Barの準備をすることも決して無駄ではないでしょうが,私は,英語のリーガルムービーを見ることをお勧めしています。英語字幕にすれば英語の勉強になりますし,アメリカの雰囲気や歴史背景なども学べます。そこで,以下は私のお勧め映画です。

10位 ペーパー・チェース(The Paper Chase)

40年以上前の,ハーバード・ロースクールを舞台にした青春映画。教授が生徒を次々に当てていく恐怖の「ソクラテス・メソッド」を,リアリティをもって描いています。今ではこんな怖い先生はあまりいませんが,映画で慣れておくと実際の授業でも大丈夫かも?

9位 ダブル・ジョパーディー(Double Jeopardy)

BossのCMでおなじみ,トミー・リー・ジョーンズ主演のサスペンス・アクション映画。二重処罰の禁止を意味するタイトルがストーリーのキモになっています。あまり法律や弁護士が出てくる場面はないのですが,映画のエンターテイメント的面白さと,実は二重処罰禁止が私の論文テーマの一つにもなっているので,選びました。

8位 アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)

1930年代の人種偏見が色濃く残る南部アラバマ州が舞台の,白人女性暴行の罪で逮捕された黒人男性の弁護を引き受けた白人の主人公の物語。とてもシリアスな映画です。憲法の授業でも人種差別の問題が多く出てきます。たとえば1954年の最高裁Brown判決が出るまで,公立学校で白人と黒人を分けて教育することがありました。

7位 真実の行方(Primal Fear)

リチャード・ギア演じる刑事弁護士が,司教殺人事件の容疑者となった,若き日のエドワード・ノートン演じる少年の弁護を引き受ける法廷サスペンス。なんでこんな意味不明の邦題なのだろうと感じる作品は多いですが,この映画には「真実の行方」がピッタリ。

6位 ザ・ファーム法律事務所(The Firm)

若かりし頃のトム・クルーズ主演のサスペンス・アクション映画。ハーバードを優秀な成績で卒業し,一軒家・車付きの破格の好待遇でメンフィスの事務所に就職した主人公だが,やがて事務所を舞台とした巨大な陰謀に巻き込まれていく。法律の勉強にはあまりなりませんが,息を持つかせぬ展開が面白いです。

5位 キューティー・ブロンド(Legally Blonde)

カリフォルニアのファッション専攻の女子大生が,フラれたことをきっかけに一念発起してハーバード・ロースクールに入学するサクセスストーリー。原題のLegally Blondeは,「金髪は法的に認められるくらいのおバカさん」という意味から来ていると思われます。ロースクール生活の描写もディフォルメされつつそれなりにリアリティがあって,単純に楽しめる映画です。なぜLegally Blonde 2と3を作ってしまったのかは不明。

4位 シビル・アクション(Civil Action)

人身傷害(Personal Injury)事件で荒稼ぎしていたジョン・トラボルタ演じる主人公が,巨大な環境訴訟に巻き込まれたことで人生を大きく変えていく,実話に基づくストーリー。民事訴訟法の勉強にもなります。個人的に好きなのは,コーネル出身の主人公がハーバード出身の相手方弁護士から,「君は何年卒だっけ?えっ,コーネルなの?ああいい学校だよね」と言われる場面(誤解を避けるために言うと,ハーバード卒業生からみたらともかく,コーネルは本当にトップクラスの学校です。私だったら,「ああアイオワなの?トウモロコシがうまいよね」とか言われそうです(笑))。

3位 推定無罪(Presumed Innocent)

名検事としてならしていたハリソン・フォード演じる主人公が,愛人殺しの疑惑で逮捕され,自らの無実を証明していく法廷サスペンス映画。ちなみに推定無罪は,「有罪と証明されるまでは無罪と推定される」という刑法の大原則。そういえば,ハリソン・フォードは逃亡者(これも素晴らしい映画。10回見ました。)でも妻殺しの罪を着せられていましたね。

2位 エリン・ブロコビッチ(Elin Brochovich)

ジュリア・ロバーツ主演の冴えないシングルマザーが,巨大企業に立ち向かっていくスカッと系ドラマ。実話に基づいており,法的にもしっかりとした構成になっていますが,何も考えずに見ていても楽しめる,ある意味最強のリーガルムービーかも。

1位 12人の怒れる男たち(Twelve Angry Men)

12人の男たちとは,陪審員のこと。陪審員室でのやりとりに終始する,ほとんど動きの無い低予算(らしい)映画ですが,ストーリーがよく練られており一見の価値あり(私は10回見ています。)。この作品をオマージュした,三谷幸喜の「12人の優しい日本人」も傑作です。

完全に私見と偏見に基づいたリストですので,もう少し幅広いチョイスをご希望の方は,全米法律家協会が選ぶベスト25をご参照ください。
http://www.abajournal.com/gallery/top25movies/99

ロースクールの選び方

1月以上と長かった冬休みも終わり、先週から春学期が始まっています。先日は、指導教授と久しぶりにお会いして、今後の進め方などを相談しました。冬休みの間はあまり研究が進みませんでしたので、自分にプレッシャーをかける意味でも、一つの章のファーストドラフトを3週間以内に提出することを約束しました。なお、論文は大きく三つの章から成っており、S.J.D.の1年目には,少なくとも一つの章のドラフトを完成させなければいけません。

私の話はさておき、このブログを読んでくださっている奇特な方の中には、今年の夏又は近年中の留学を目指している方もいらっしゃるかもしれません。本日は、「どのロースクールに行くべきか」を考えるにあたってのヒントについて書いてみたいと思います。なお、私のようにJ.D.を取得してアメリカ弁護士として働くのではなく、LL.M.を取得する弁護士や法務部員の方を念頭に置いています。

1. ランキング

たぶんほとんどの留学生は、U.S. Newのロースクールランキングをもとに、どのロースクールに行くかを決めるのではないでしょうか?

http://grad-schools.usnews.rankingsandreviews.com/best-graduate-schools/top-law-schools/law-rankings

もちろんランキングが良いことには、就職率が良い、周りの学生が優秀(少なくとも大学の成績が良い)、有名な教授がいるなど、それなりの理由がありますので、ランキングを無視するべきではありません。また、例外はありますが、上位校は日本でも大抵名前が知られていますので、「〇〇(例えばアイビーリーグ)に留学します」というと「へー(すごい)」という反応が心地良いこともあるでしょう。

わたしもかつてJ.D.を受験したときには、ほとんどランキングしか気にしておらず、最初はトップ10校の全てに不合格になり、慌てて他の学校に応募してVanderbiltに拾ってもらった経緯があります(詳しくは下記ブログ記事をご参照ください。)。

http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/2007-02-10

「Vanderbiltに留学します」というと、だいたい「へー(それどこ?)」という反応が返ってきて残念な気持ちになったことを思い出しますので、ランキングや(日本での)知名度を重視する気持ちは良くわかります。ただ、実際に留学して、そして今は2校目の留学をしていて感じるのは、以下の2と3を重視したほうが良いのではないかということです。

なお、J.D.を取得してアメリカで働く場合には、ランキングが高ければ高いほど就職に有利かつ卒業後の選択肢も広がりますので、ランキングを最優先するべきです。わたしがJ.D.を取得したVanderbiltは、ランキング16位と決して低くはありませんが、もしより上位の学校に行けていたらクラークシップなどの道も拓けていたのではないかと、いまだに思うことがあります。

2. 都市

ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルスなどの大都市にある学校を希望される方が多いようですが、個人的には田舎の学校をおススメします。大都市には出張や旅行などで行くチャンスが多いと思いますが、田舎のいわゆる「古き良きアメリカ」での生活は留学でもしないと出来ません。生活費(特に住居費)も2倍から4倍近く変わる可能性があります。たぶん毎日学校に通うことになると思いますので、通学時間もばかになりませんが、田舎であればキャンパスの中や10分程度の場所にリーズナブルに住めるでしょう。さらに、大都市だと、「キャンパス」とは名ばかりのビル群で、なんとも味気ないものです。

大都市でないと楽しみが少ない、と思われる方も多いでしょう。しかし、よほど語学に堪能でないかぎり、学期中は相当忙しくて遊ぶ時間はほとんど無いと思います。その分長期の休みに旅行をすればよいのではないでしょうか。また、日常のちょっとした楽しみであれば、価値観にもよりますが、その地方や大学ならではの楽しみを見つけられると思います(我がIowaについては、以下の記事をご参照。)。私は、働いていたニューヨークよりも、いまいるアイオワシティー、そしてそれよりもVanderbiltのあるナッシュビルのほうが好きです。

http://uiowasjd.blog.so-net.ne.jp/2016-09-19

もう一点、見落としがちですが、実は気候も大きな要素です。LL.M.は実質9月~5月ですので、夏の暑さはそれほど気にする必要がありませんが、多くのロースクールがとても寒いところにあることに注意が必要です。寒いと何かいけないのかというと、室内は暖かいので問題ありませんが、外に出たくない、学校に行きたくないという気分になってしまうのです。寒いところにある学校は自殺率が高いと聞いたこともあります。そういう意味では、西海岸や南部にある学校がおススメです(正直、アイオワシティーも真冬はマイナス20~30度にもなる極寒地帯にありますので、この点だけはネックです。)。

3. サポートスタッフ

留学すると、とにかく困ることが多いと思います。留学の立上げ、日常生活、学校生活などのあらゆる点で、細々とした問題が多々発生します。交通事故や犯罪に巻き込まれた留学生の話を聞いたこともあります。そうしたときに、親身になって相談できるような専任のスタッフがいるととても助かります。LL.M.担当の教授しかいない場合、もちろん人によるとは思いますが、一般的に教授は授業や研究で忙しいので、あまりサポートは期待できないかもしれません。

一つの方法として、合格通知をくれた人に疑問をぶつけてみることや、最近の日本人卒業生を紹介してもらうことが考えられます。そこでの対応姿勢や内容で、留学してからどれだけサポートを受けられるかがなんとなくわかると思います。この点、Vanderbiltには、もはや伝説レベルのスーパーウーマンのCynthiaがいます(下記ご参照。)。ちなみに、Iowaでは春学期から新しい担当者に代わったばかりなのですが、もともとガーナからの留学生でJ.D.を取得しているので、留学生の事情を良くわかってくれそうです。

http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/2006-09-24

4. 学びたい科目、教授

よく、「自分の専門は〇〇法で、この学校にはその分野に強いから(又は、有名な〇〇先生がいるから)」という理由も聞きます。これは決して間違いではありませんし、エッセイなどの出願書類には書くべきですが、学校選択にあたっては,実際のところそれほど重要ではないと思います。その分野の研究者になるのであれば、「〇〇ロースクールで〇〇先生の指導を受けた」ことに意義があるのかもしれませんが,国際法、会社法、知的財産法など,よっぽど特殊な分野でなければ、どのロースクールでもそれなりに学べるはずです。一方,その分野の第一人者であっても、教え方がうまいとは限りません。

一年間で取れる授業の数は限られています。単位数にもよりますが、せいぜい6~8科目程度ではないでしょうか。もしある分野について学びたいのであれば,ロースクールの授業を受けるよりも,自分で専門書を読んだほうが効率的です。多くの方にとって,ロースクールで授業を取る意義は,ライブの環境で英語を学ぶということにあるのではないでしょうか。ものすごくつまらない授業もけっこうありますし、そんな授業のために数か月間を費やすのはもったいないです。毎年教え方のうまい先生を学生が選んで表彰する制度がありますのでそれを参考にして,あまり分野にはこだわらず面白そうな授業を履修されると良いのではないかと思います。

サンクスギビング・ウィーク

アメリカでは11月の第四木曜日がThanksgiving(感謝祭)という祝日になっています。もともとはアメリカ移民が収穫を祝うために行う宗教的な意味合いの強い行事でしたが,現在は親戚や友人などが集まって七面鳥を食べるという家族的な行事になっています。

このサンクスギビングを含む一週間は,ロースクールもお休みになっています。かつてJ.D.プログラムで学んでいたとき(http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/archive/c35376071-1をご参照)は,直後に期末試験が控えていたので勉強一色でしたが,S.J.D.では試験もありませんので,この機会を利用して,車で四時間ほどのシカゴに二泊三日で行ってきました。

二年目のS.J.D.である中国人留学生のJ君の奥さんは,シカゴ大学の修士課程を卒業して,シカゴ近郊のブラッドリーという町でSocial Worker(社会福祉士)をしています。そのためJ君は普段からブラッドリーとアイオワシティを行き来しているのですが,今回私とS.J.D.同級生でウガンダ人留学生のD君を招待してくれたのです。

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水上タクシーでチャイナタウンからダウンタウンに移動しました。眺めは最高ですが,Windy Cityと呼ばれるだけあって,風が強くてとても寒い!

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アイオワシティとは違って大都会です。

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シカゴスタイルのピザは分厚い!

また,Thanksgiving Dayの翌日の金曜日は,Black Fridayといって,アメリカ中のお店が大セールを行います。当日は早朝からお店がオープンするため,前日からモールの駐車場で寝起きして,開店前から行列に並ぶ人も多いようです。私の家の近くにも大きなモールがあるので,昼間に歩いて様子を見に行ってきましたが,駐車場は満杯で,モール内でもアイオワではありえないくらいの人であふれていたため,結局何も買わずに帰ってきました。

当日はテレビのコマーシャルもBlack Friday関連のものばかりですが,面白かったのはある車会社のものでした。セールからボロボロの姿で帰ってきた人が隣人に「前日から並んでしかも争奪戦だったけど,数百ドルも得しちゃったよ」と自慢して,「ところで君は何をしていたの」と問いかけます。隣人は涼しい顔をして,「ゆっくり寝ていたけど,今月はカーディーラーが一カ月ずっとBlack Fridayセールをやっているから,それで数千ドル得したよ」と答えるものです。また,たしかにBlack Fridayセールは安いのですが,路面店だけでなく,オンラインでも安く買えることが多いので,無理せず家でゆっくり過ごすのが正解かもしれません。

さて,秋学期は残すところあと2週間,研究も冬休み前の最後の追い込みです。

アメリカ生活あるある

だいぶ更新をさぼっておりました。べつにゴルフとサイクリングばかりしていたわけではなく、研究生活は順調に進んでいます。前回の記事で、この一年に①Dissertation Proposal(研究計画)、②Outline(各章の概要)、③Literature Review(既存論文の分析)、④Draft of One Chapter(一章分のドラフト)の四つを完成させる必要があるとお話ししました。11月3日に、指導教授や他のSJDの学生の前で研究についてのプレゼンを行い、翌11月4日に、①と②が論文審査会(Dissertation Committee)に承認され、さらに先週③のドラフトを指導教授に提出しました。現在は④に取り掛かったところで、予定よりもだいぶ早く進んでいます。

日本でもかなり話題になっていたと思いますが、最近はこちらでも大統領選挙一色でした。トランプといえば、かつてテレビのバラエティ番組(The Apprenticeという、トランプの前でビジネスのプレゼンをする番組)でしょっちゅうYou are fired!(お前はクビだ)と叫んでいる名物おじさんというイメージが強かったので、単純に驚いています。マネーの虎に出ていたな〇でんか〇でんの社長が総理大臣になるようなもの、と言ったら言い過ぎでしょうか。。。

さて、トランプ大統領になることによってアメリカ法がどう変わっていくかは非常に興味深いテーマなのですが、あまりブログで簡単に書ける内容でもないので、(いずれ書きたいとは思いますが)本日のメインテーマは選挙とは全く関係ない、アメリカ生活あるあるです。私にとって今回は2回目のアメリカ留学ですが、ああアメリカってこうだったなと思い出すことが日々あります。

1.夏はとっくに終わっているのに半袖半ズボンの人が結構いる。

たまに上半身裸でランニングしている人もいます。ちょっと調べてみたところ、「なぜ多くのアメリカ人は寒さを感じないのか」について疑問をお持ちの方は多いようで、平均体温が高いから、筋肉量が多いからなど、諸説あるようです。

2.食べ物がいまいち。

アメリカに限らず、海外旅行をすると日本がいかに美食の国であるかに気付きます。美味しくないというよりは、甘すぎ、油っこすぎなど、「大味」であることが多いです。私は毎朝必ずヨーグルトを食べるのですが、スーパーではやたら品揃えがいいにもかかわらずどれも甘すぎて、結局プレーンヨーグルトに砂糖をかけて食べています。ただし、最近知ったのですが、ここのチキンサンドイッチとポテトフライは絶品です(両方で900カロリーなのでかなり危険)。

http://www.chick-fil-a.com/

3.時間にルーズ。

ケーブルテレビの接続や、家具の配達など、約束の時間通りに必ずといっていいほど来ません。遅れるだけならまだしも,普通にその日に来ないので、電話すると何事もなかったように「じゃあ明日いきます」と言ってきます。留学生向けのオリエンなどで「アメリカ人はとても時間に正確なので気を付けるように」という発言を何度か聞いたことがありますが、本当にそう思っているようで少し驚きです。まあラテンの国よりは正確なのでしょうが。

4.アパートのメンテナンスや家具の配達など,平気で土足で入ってくる。

これは文化の違いなので仕方ないのですが、いまだに慣れません。脱いでほしいといっても,「安全のために脱げない」というよくわからない理由で断る人が多いので、たまに素直に脱いでくれると、とても気持ちがいいですね。

5.パッケージがやたら開けにくい。

いまだにCDを買っている私ですが、ビニールの包装の開け口が分かりにくい上に、上部に貼ってあるシールがものすごく剥がしにくいです。これはパッケージ全般に言えることで、日本人よりも一般的に不器用であろうアメリカ人はどうしているのだろうと気になります。また、たとえばサランラップやアルミホイルなど、日用品の質もイマイチです。ただふと思うのは、こうした日本人のサービスや品質に関するちょっと過剰とも思えるような期待と、最近特に問題になっている長時間労働の問題とは、まったく無関係ではないのでは、ということです。「このくらいでいいや」といういい意味でのいい加減さも必要なのかもしれません。

6.トイレにウォシュレットがついていない。

食事中の方には恐縮ですが、日本のトイレの快適さに慣れてしまうと、どうしても不便を感じてしまいますね。しかし、なんと通販で手に入るのです。

https://www.amazon.com/gp/product/B003TPGPUW

何百ドルもする高級品もありますが、手動のこちらで十分です。設置にやや手間がかかりますが、26ドルでこの快適さが入手できるとは。いままで買い物をした中で、最もコストパフォーマンスが高いかもしれません。

7.単位が違う。

最初特に戸惑うのが,温度がC(セルシウス)ではなく,F(ファーレンハイト)なことで、天気予報を見ても暖かいのかどうかがよくわかりません。最近、Fから30を引いて2で割るとだいたいのCが出るということを知って、だいぶ楽になりました。また、グラムでなくパウンドなので,スーパーで肉や総菜を買うときに量がわからなくて困りますが、一人分だと、アハーフパウンドと言っておけばまあ大丈夫でしょう。マイルとキロ,メートルとフィートなども混乱しますね。

8.アメフトが好きになる。

特に強い学校に留学すると、学校や町全体が盛り上がりますので、知らず知らずのうちに引き込まれます。ロースクールのトップ20くらいの上位校だと、強いのはStanford, Michigan, USC(そして今年はイマイチですが、我がIowaも!)くらいでしょうか。アイビーリーグは押しなべて弱いです。お金を持っていそうな私立大学よりも州立大学のほうが一般的に強く、アメフトが独立したビジネスとして成功しているため、大学の宣伝材料と財源を兼ねているようです。アメフトのユニフォームも格好いいですが、マスコットやロゴマークも良く出来ています。私が特にいいなと思うのは、

クレムソン大学
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ルイビル大学
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ミシガン州立大学
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などでしょうか。しかし、全米ランキング2位のオハイオ州立大学のマスコットは、どうしてこうなってしまったのでしょうか。。。
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9.夏の日中時間が長い。

アメリカは夏時間(Daylight Saving Time)を採用しているので、11月第一週までは、夕方や夜になっても明るく、過ごしやすいです。夏時間が終わると急に夜が早く来るように感じますが、その分、朝の寒さが和らぎます。なぜ日本がこれを採用しないのか不思議です。夕方明るいと退社するのに罪悪感が生じて、残業が増えてしまうからでしょうか。

10.タバコの臭いがしない。

大の嫌煙家の私としては、歩きたばこやレストランでの喫煙が皆無なのがとてもうれしいです。

こちらでは、来週サンクスギビングウィークになるため、同級生の誘いでシカゴに行ってきます。そういえば先日テネシーのナッシュビル・ノックスビルに行ってきたことも書いていないので、そのうちまとめて書きたいと思います。

以上

SJDの日常

アイオワの秋は,気持ち良い晴れの日が続き,とても過ごしやすいです。ただ,朝晩は冷え込み,朝学校に行くときに車のフロントガラスが凍っており,厳しい冬がもうすぐそこまで来ているのを感じます。

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(近所の紅葉

私がアイオワに来てから,早いもので三カ月弱が経ちました。だいぶ先延ばしになっていましたが,本日は,「SJDは具体的にどんな生活をしているのか」をご紹介したいと思います。

以前に,http://uiowasjd.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24で詳しくご説明したとおり,SJDは法学博士課程で,Dissertationという博士論文を完成させて口頭試問に合格することが必要です。私の博士論文のテーマは,ビジネス法のある一分野に関する法執行の国際比較と提言です。指導教授のR教授は,比較法と行政法の専門家で,アイオワロースクールの国際プログラムのディレクターもされています。R教授と,刑法専門のO教授,会社法専門のY教授の三人が,,私の論文を審査するDissertation Committeeのメンバーです。

アイオワのSJDは一年間をアイオワで過ごすこと(これをレジデントといいます。)が必要ですが,その後はどこで論文を完成させてもかまいません。現在SJDのレジデントとして在籍しているのは,2年目の中国人と韓国人が一人ずつ,今年の1月に入学したサウジアラビア人が二人,そして今年の8月に入学したウガンダ人と私の計6人です。

週一回,レジデントと,R教授と,ウガンダ人留学生の指導教授G教授が集まって,研究方法に関するディスカッションや,互いの研究発表を行うSJDチュートリアルという1時間のクラスがあります。また,指導教授とは,不定期に(週一回程度)ミーティングをして,研究の進捗状況について報告したり,さまざまな指導を受けたりします。それ以外に授業を取る義務は無いのですが,私は将来アメリカ法全般も教えたいので,R教授の「アメリカ法入門」を聴講しています。

この一年間に必要とされている書類・作業は,以下の四つです。一つ目は,Dissertation Proposal(研究計画)で,論文のテーマ,構成,研究方法,理論的枠組み,オリジナリティなどについて,3,000字ほどでまとめたものです。SJD応募の際に提出したドラフトがありますが,それを教授と話し合いながら練りに練っていきます。二つ目は,Outlineで,論文の各章の内容を簡潔にまとめたものです。三つめは,Literature Reviewといって,論文のテーマに関連する既存の本や論文を分析して,自分の論文がいかにオリジナリティを持つのかを示すものです。そして四つ目は,実際の論文の一つの章を完成させることです。

私の場合,SJD応募の段階でかなり研究計画を詰めたつもりでしたが,教授とディスカッションを進めていくと,いかに穴があるか,論理的整合性が取れていないかといったことが明確になりました。10月の初めに研究計画とアウトラインを提出し,Dissertation Committeeの承認待ちです。現在は,Literature Reviewを中心に作業を進めており,今学期中にも実際の論文に取り掛かれればよいなと思っています。

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(ロースクールの図書館。全米二位の規模だそうです。)

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(JDとLLMの学生一人一人に与えられる勉強ブース。「キャレル」といいます。)

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(SJDは,扉・鍵付きの少し広めのキャレルが貰えます。大量の論文や本もすべて置いておけるので,パソコンやプリンターを据え付け,基本的にここで過ごしています。)

私がJDで留学したときには(LLMのみなさんもそうだと思いますが),基本的に毎日授業があり,大量の宿題が出ますので,予習復習をこなすだけで毎日が終わっていました。SJDの場合,週一回程度の会合はありますが,基本的に何も縛られるものがないので,自分で自分をコントロールすることが必要です。私の場合,何もなくとも基本的に平日は毎日朝から夕方まで学校に行き,週末は出来るだけ体を動かしたりリラックスしたりしています。

最初のうちは遅くまで学校に残ったり,休日も学校に行ったりしていましたが,長く続けるには,普通に働いているのと同じような日常を過ごすべきだと考えるようになりました。もちろん普通の仕事とは違い,わけのわからない上司や,(少なくとも人から強制される)残業などもないので,ストレスは全くありません。ローファーム時代に常に悩まされていた口内炎からも解放されています。スケジュールも自由に組めますので,研究さえきちんと進んでいれば,旅行も可能です。実は私も,先日母校のVanderbilt University Law Schoolがあるナッシュビルと,当時の親友が住んでいるノックスビルに行ってきました。このことについてはまた日を改めて書きたいと思います。

アイオワ州,大学,ロースクール

本日は,日本ではほとんど知られていないであろう,アイオワ州,アイオワ大学,ロースクールをご紹介したいと思います。

アイオワ州は,アメリカの中西部,アメリカの地図でいうとほぼ真ん中の少し上あたり,シカゴがあるイリノイ州の西側に位置しています。緯度は北海道とほぼ同じで,夏は爽やか,冬は(まだ体験していませんが)極寒だそうです。自然にあふれたのどかな州で,農業,とくにトウモロコシの生産が盛んです。日本の人には,「あああのジャガイモで有名な」といわれますが,それは違います。アイダホです!あと,なぜか日本人にもアメリカ人にも「オハイオに留学してるんですね」といわれたことがあります。どちらも英語日本語ともに四文字,中西部にあることから間違えられやすいのかもしれません。

アイオワ大学(University of Iowa)は,1847年に設立された州立大学で(アイオワ州立大学,Iowa State University大学とは異なります。),アイオワ・シティというカレッジ・タウンにあります。広大な敷地内を流れるアイオワ川の東側には多くの学部があるダウンタウンがあり,西側には医学部・大学病院・ロースクールや,フットボール・スタジアム,ゴルフ場などがあります。

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(大学のシンボル,Herky the Hawk)

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(大学の中心,Old Capitol Building)

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(ダウンタウン)

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(7万人収容のフットボール・スタジアム)

わたしが通うロースクール(University of Iowa College of Law)は1865年に設立(ミシシッピー川の西側では最も古いロースクールだそうです。)された伝統校です。日本人の卒業生はほとんどいませんので日本での知名度は低いですが,全米ランキングでは毎年20位以内と安定した評価を受けています。JDの一学年は140人前後,LLMは10人以下ととても小規模(私の所属するSJDは,私とウガンダからの留学生D君の2人だけ)です。一方で,図書館は全米2位の蔵書数を誇り,そのためもあって海外の大学の教授など,多くのVisiting Scholarが在籍しています。

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(ロースクール外観)

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(ロースクールから車で5分ほどのところにある大学所有のゴルフ場。今日は天気が良いので研究をさぼってゴルフ,などということは決してしていません。)

私は以前の留学も含めてアメリカに4年ほどいましたが,アイオワ州やアイオワ大学のことは殆ど知りませんでした。どんなところかやや不安でしたが,こちらに来て2か月半ほどたって感じるのは,安全,街の人が親切,物価が安い,自然が多い,渋滞が無い,気候が良いなど,とても暮らしやすいところだということです。難点は,観光地が全くないことと,プロスポーツのチームが無いこと(その分,大学のアメフトはすごい盛り上がりです。),冬がたぶんとても寒いことくらいでしょうか。

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