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サンクスギビング・ウィーク

アメリカでは11月の第四木曜日がThanksgiving(感謝祭)という祝日になっています。もともとはアメリカ移民が収穫を祝うために行う宗教的な意味合いの強い行事でしたが,現在は親戚や友人などが集まって七面鳥を食べるという家族的な行事になっています。

このサンクスギビングを含む一週間は,ロースクールもお休みになっています。かつてJ.D.プログラムで学んでいたとき(http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/archive/c35376071-1をご参照)は,直後に期末試験が控えていたので勉強一色でしたが,S.J.D.では試験もありませんので,この機会を利用して,車で四時間ほどのシカゴに二泊三日で行ってきました。

二年目のS.J.D.である中国人留学生のJ君の奥さんは,シカゴ大学の修士課程を卒業して,シカゴ近郊のブラッドリーという町でSocial Worker(社会福祉士)をしています。そのためJ君は普段からブラッドリーとアイオワシティを行き来しているのですが,今回私とS.J.D.同級生でウガンダ人留学生のD君を招待してくれたのです。

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水上タクシーでチャイナタウンからダウンタウンに移動しました。眺めは最高ですが,Windy Cityと呼ばれるだけあって,風が強くてとても寒い!

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アイオワシティとは違って大都会です。

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シカゴスタイルのピザは分厚い!

また,Thanksgiving Dayの翌日の金曜日は,Black Fridayといって,アメリカ中のお店が大セールを行います。当日は早朝からお店がオープンするため,前日からモールの駐車場で寝起きして,開店前から行列に並ぶ人も多いようです。私の家の近くにも大きなモールがあるので,昼間に歩いて様子を見に行ってきましたが,駐車場は満杯で,モール内でもアイオワではありえないくらいの人であふれていたため,結局何も買わずに帰ってきました。

当日はテレビのコマーシャルもBlack Friday関連のものばかりですが,面白かったのはある車会社のものでした。セールからボロボロの姿で帰ってきた人が隣人に「前日から並んでしかも争奪戦だったけど,数百ドルも得しちゃったよ」と自慢して,「ところで君は何をしていたの」と問いかけます。隣人は涼しい顔をして,「ゆっくり寝ていたけど,今月はカーディーラーが一カ月ずっとBlack Fridayセールをやっているから,それで数千ドル得したよ」と答えるものです。また,たしかにBlack Fridayセールは安いのですが,路面店だけでなく,オンラインでも安く買えることが多いので,無理せず家でゆっくり過ごすのが正解かもしれません。

さて,秋学期は残すところあと2週間,研究も冬休み前の最後の追い込みです。

アメリカ生活あるある

だいぶ更新をさぼっておりました。べつにゴルフとサイクリングばかりしていたわけではなく、研究生活は順調に進んでいます。前回の記事で、この一年に①Dissertation Proposal(研究計画)、②Outline(各章の概要)、③Literature Review(既存論文の分析)、④Draft of One Chapter(一章分のドラフト)の四つを完成させる必要があるとお話ししました。11月3日に、指導教授や他のSJDの学生の前で研究についてのプレゼンを行い、翌11月4日に、①と②が論文審査会(Dissertation Committee)に承認され、さらに先週③のドラフトを指導教授に提出しました。現在は④に取り掛かったところで、予定よりもだいぶ早く進んでいます。

日本でもかなり話題になっていたと思いますが、最近はこちらでも大統領選挙一色でした。トランプといえば、かつてテレビのバラエティ番組(The Apprenticeという、トランプの前でビジネスのプレゼンをする番組)でしょっちゅうYou are fired!(お前はクビだ)と叫んでいる名物おじさんというイメージが強かったので、単純に驚いています。マネーの虎に出ていたな〇でんか〇でんの社長が総理大臣になるようなもの、と言ったら言い過ぎでしょうか。。。

さて、トランプ大統領になることによってアメリカ法がどう変わっていくかは非常に興味深いテーマなのですが、あまりブログで簡単に書ける内容でもないので、(いずれ書きたいとは思いますが)本日のメインテーマは選挙とは全く関係ない、アメリカ生活あるあるです。私にとって今回は2回目のアメリカ留学ですが、ああアメリカってこうだったなと思い出すことが日々あります。

1.夏はとっくに終わっているのに半袖半ズボンの人が結構いる。

たまに上半身裸でランニングしている人もいます。ちょっと調べてみたところ、「なぜ多くのアメリカ人は寒さを感じないのか」について疑問をお持ちの方は多いようで、平均体温が高いから、筋肉量が多いからなど、諸説あるようです。

2.食べ物がいまいち。

アメリカに限らず、海外旅行をすると日本がいかに美食の国であるかに気付きます。美味しくないというよりは、甘すぎ、油っこすぎなど、「大味」であることが多いです。私は毎朝必ずヨーグルトを食べるのですが、スーパーではやたら品揃えがいいにもかかわらずどれも甘すぎて、結局プレーンヨーグルトに砂糖をかけて食べています。ただし、最近知ったのですが、ここのチキンサンドイッチとポテトフライは絶品です(両方で900カロリーなのでかなり危険)。

http://www.chick-fil-a.com/

3.時間にルーズ。

ケーブルテレビの接続や、家具の配達など、約束の時間通りに必ずといっていいほど来ません。遅れるだけならまだしも,普通にその日に来ないので、電話すると何事もなかったように「じゃあ明日いきます」と言ってきます。留学生向けのオリエンなどで「アメリカ人はとても時間に正確なので気を付けるように」という発言を何度か聞いたことがありますが、本当にそう思っているようで少し驚きです。まあラテンの国よりは正確なのでしょうが。

4.アパートのメンテナンスや家具の配達など,平気で土足で入ってくる。

これは文化の違いなので仕方ないのですが、いまだに慣れません。脱いでほしいといっても,「安全のために脱げない」というよくわからない理由で断る人が多いので、たまに素直に脱いでくれると、とても気持ちがいいですね。

5.パッケージがやたら開けにくい。

いまだにCDを買っている私ですが、ビニールの包装の開け口が分かりにくい上に、上部に貼ってあるシールがものすごく剥がしにくいです。これはパッケージ全般に言えることで、日本人よりも一般的に不器用であろうアメリカ人はどうしているのだろうと気になります。また、たとえばサランラップやアルミホイルなど、日用品の質もイマイチです。ただふと思うのは、こうした日本人のサービスや品質に関するちょっと過剰とも思えるような期待と、最近特に問題になっている長時間労働の問題とは、まったく無関係ではないのでは、ということです。「このくらいでいいや」といういい意味でのいい加減さも必要なのかもしれません。

6.トイレにウォシュレットがついていない。

食事中の方には恐縮ですが、日本のトイレの快適さに慣れてしまうと、どうしても不便を感じてしまいますね。しかし、なんと通販で手に入るのです。

https://www.amazon.com/gp/product/B003TPGPUW

何百ドルもする高級品もありますが、手動のこちらで十分です。設置にやや手間がかかりますが、26ドルでこの快適さが入手できるとは。いままで買い物をした中で、最もコストパフォーマンスが高いかもしれません。

7.単位が違う。

最初特に戸惑うのが,温度がC(セルシウス)ではなく,F(ファーレンハイト)なことで、天気予報を見ても暖かいのかどうかがよくわかりません。最近、Fから30を引いて2で割るとだいたいのCが出るということを知って、だいぶ楽になりました。また、グラムでなくパウンドなので,スーパーで肉や総菜を買うときに量がわからなくて困りますが、一人分だと、アハーフパウンドと言っておけばまあ大丈夫でしょう。マイルとキロ,メートルとフィートなども混乱しますね。

8.アメフトが好きになる。

特に強い学校に留学すると、学校や町全体が盛り上がりますので、知らず知らずのうちに引き込まれます。ロースクールのトップ20くらいの上位校だと、強いのはStanford, Michigan, USC(そして今年はイマイチですが、我がIowaも!)くらいでしょうか。アイビーリーグは押しなべて弱いです。お金を持っていそうな私立大学よりも州立大学のほうが一般的に強く、アメフトが独立したビジネスとして成功しているため、大学の宣伝材料と財源を兼ねているようです。アメフトのユニフォームも格好いいですが、マスコットやロゴマークも良く出来ています。私が特にいいなと思うのは、

クレムソン大学
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ルイビル大学
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ミシガン州立大学
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などでしょうか。しかし、全米ランキング2位のオハイオ州立大学のマスコットは、どうしてこうなってしまったのでしょうか。。。
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9.夏の日中時間が長い。

アメリカは夏時間(Daylight Saving Time)を採用しているので、11月第一週までは、夕方や夜になっても明るく、過ごしやすいです。夏時間が終わると急に夜が早く来るように感じますが、その分、朝の寒さが和らぎます。なぜ日本がこれを採用しないのか不思議です。夕方明るいと退社するのに罪悪感が生じて、残業が増えてしまうからでしょうか。

10.タバコの臭いがしない。

大の嫌煙家の私としては、歩きたばこやレストランでの喫煙が皆無なのがとてもうれしいです。

こちらでは、来週サンクスギビングウィークになるため、同級生の誘いでシカゴに行ってきます。そういえば先日テネシーのナッシュビル・ノックスビルに行ってきたことも書いていないので、そのうちまとめて書きたいと思います。

以上

SJDの日常

アイオワの秋は,気持ち良い晴れの日が続き,とても過ごしやすいです。ただ,朝晩は冷え込み,朝学校に行くときに車のフロントガラスが凍っており,厳しい冬がもうすぐそこまで来ているのを感じます。

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(近所の紅葉)

私がアイオワに来てから,早いもので三カ月弱が経ちました。だいぶ先延ばしになっていましたが,本日は,「SJDは具体的にどんな生活をしているのか」をご紹介したいと思います。

以前に,http://uiowasjd.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24で詳しくご説明したとおり,SJDは法学博士課程で,Dissertationという博士論文を完成させて口頭試問に合格することが必要です。私の博士論文のテーマは,ビジネス法のある一分野に関する法執行の国際比較と提言です。指導教授のR教授は,比較法と行政法の専門家で,アイオワロースクールの国際プログラムのディレクターもされています。R教授と,刑法専門のO教授,会社法専門のY教授の三人が,,私の論文を審査するDissertation Committeeのメンバーです。

アイオワのSJDは一年間をアイオワで過ごすこと(これをレジデントといいます。)が必要ですが,その後はどこで論文を完成させてもかまいません。現在SJDのレジデントとして在籍しているのは,2年目の中国人と韓国人が一人ずつ,今年の1月に入学したサウジアラビア人が二人,そして今年の8月に入学したウガンダ人と私の計6人です。

週一回,レジデントと,R教授と,ウガンダ人留学生の指導教授G教授が集まって,研究方法に関するディスカッションや,互いの研究発表を行うSJDチュートリアルという1時間のクラスがあります。また,指導教授とは,不定期に(週一回程度)ミーティングをして,研究の進捗状況について報告したり,さまざまな指導を受けたりします。それ以外に授業を取る義務は無いのですが,私は将来アメリカ法全般も教えたいので,R教授の「アメリカ法入門」を聴講しています。

この一年間に必要とされている書類・作業は,以下の四つです。一つ目は,Dissertation Proposal(研究計画)で,論文のテーマ,構成,研究方法,理論的枠組み,オリジナリティなどについて,3,000字ほどでまとめたものです。SJD応募の際に提出したドラフトがありますが,それを教授と話し合いながら練りに練っていきます。二つ目は,Outlineで,論文の各章の内容を簡潔にまとめたものです。三つめは,Literature Reviewといって,論文のテーマに関連する既存の本や論文を分析して,自分の論文がいかにオリジナリティを持つのかを示すものです。そして四つ目は,実際の論文の一つの章を完成させることです。

私の場合,SJD応募の段階でかなり研究計画を詰めたつもりでしたが,教授とディスカッションを進めていくと,いかに穴があるか,論理的整合性が取れていないかといったことが明確になりました。10月の初めに研究計画とアウトラインを提出し,Dissertation Committeeの承認待ちです。現在は,Literature Reviewを中心に作業を進めており,今学期中にも実際の論文に取り掛かれればよいなと思っています。

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(ロースクールの図書館。全米二位の規模だそうです。)

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(JDとLLMの学生一人一人に与えられる勉強ブース。「キャレル」といいます。)

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(SJDは,扉・鍵付きの少し広めのキャレルが貰えます。大量の論文や本もすべて置いておけるので,パソコンやプリンターを据え付け,基本的にここで過ごしています。)

私がJDで留学したときには(LLMのみなさんもそうだと思いますが),基本的に毎日授業があり,大量の宿題が出ますので,予習復習をこなすだけで毎日が終わっていました。SJDの場合,週一回程度の会合はありますが,基本的に何も縛られるものがないので,自分で自分をコントロールすることが必要です。私の場合,何もなくとも基本的に平日は毎日朝から夕方まで学校に行き,週末は出来るだけ体を動かしたりリラックスしたりしています。

最初のうちは遅くまで学校に残ったり,休日も学校に行ったりしていましたが,長く続けるには,普通に働いているのと同じような日常を過ごすべきだと考えるようになりました。もちろん普通の仕事とは違い,わけのわからない上司や,(少なくとも人から強制される)残業などもないので,ストレスは全くありません。ローファーム時代に常に悩まされていた口内炎からも解放されています。スケジュールも自由に組めますので,研究さえきちんと進んでいれば,旅行も可能です。実は私も,先日母校のVanderbilt University Law Schoolがあるナッシュビルと,当時の親友が住んでいるノックスビルに行ってきました。このことについてはまた日を改めて書きたいと思います。

アイオワ州,大学,ロースクール

本日は,日本ではほとんど知られていないであろう,アイオワ州,アイオワ大学,ロースクールをご紹介したいと思います。

アイオワ州は,アメリカの中西部,アメリカの地図でいうとほぼ真ん中の少し上あたり,シカゴがあるイリノイ州の西側に位置しています。緯度は北海道とほぼ同じで,夏は爽やか,冬は(まだ体験していませんが)極寒だそうです。自然にあふれたのどかな州で,農業,とくにトウモロコシの生産が盛んです。日本の人には,「あああのジャガイモで有名な」といわれますが,それは違います。アイダホです!あと,なぜか日本人にもアメリカ人にも「オハイオに留学してるんですね」といわれたことがあります。どちらも英語・日本語ともに四文字,中西部にあることから間違えられやすいのかもしれません。

アイオワ大学(University of Iowa)は,1847年に設立された州立大学で(アイオワ州立大学,Iowa State University大学とは異なります。),アイオワ・シティというカレッジ・タウンにあります。広大な敷地内を流れるアイオワ川の東側には多くの学部があるダウンタウンがあり,西側には医学部・大学病院・ロースクールや,フットボール・スタジアム,ゴルフ場などがあります。

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(大学のシンボル,Herky the Hawk)

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(大学の中心,Old Capitol Building)

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(ダウンタウン)

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(7万人収容のフットボール・スタジアム)

わたしが通うロースクール(University of Iowa College of Law)は1865年に設立(ミシシッピー川の西側では最も古いロースクールだそうです。)された伝統校です。日本人の卒業生はほとんどいませんので日本での知名度は低いですが,全米ランキングでは毎年20位以内と安定した評価を受けています。JDの一学年は140人前後,LLMは10人以下ととても小規模(私の所属するSJDは,私とウガンダからの留学生D君の2人だけ)です。一方で,図書館は全米2位の蔵書数を誇り,そのためもあって海外の大学の教授など,多くのVisiting Scholarが在籍しています。

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(ロースクール外観)

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(ロースクールから車で5分ほどのところにある大学所有のゴルフ場。今日は天気が良いので研究をさぼってゴルフ,などということは決してしていません。)

私は以前の留学も含めてアメリカに4年ほどいましたが,アイオワ州やアイオワ大学のことは殆ど知りませんでした。どんなところかやや不安でしたが,こちらに来て2か月半ほどたって感じるのは,安全,街の人が親切,物価が安い,自然が多い,渋滞が無い,気候が良いなど,とても暮らしやすいところだということです。難点は,観光地が全くないことと,プロスポーツのチームが無いこと(その分,大学のアメフトはすごい盛り上がりです。),冬がたぶんとても寒いことくらいでしょうか。

SJDとは何か?

本日は,そもそもSJDとは何か,私がここで何をしているのかについて書きます。

一言でいうと,SJDは法学博士課程です。背景として,まずアメリカのロースクールの仕組みについて少しご説明します。アメリカには,大学レベルの法学部は基本的にありません。ロースクールは,大学院レベルの,弁護士になるための学校です。アメリカ人が弁護士になるためには,大学卒業後,ロースクールで3年間かけてJD(ジェーディー,ラテン語のJuris Doctorの略)という学位を取った上で,いずれかの州で弁護士試験に合格しなければなりません。

多くのロースクールには,一年でLLM(エルエルエム,Master of Lawsの略)という学位が取れるプログラムがあります。これは基本的には,米国外で法学部を卒業している実務家などの留学生向けです。LLMを取ると,原則としてニューヨーク州の弁護士試験を受験することが出来ます(最近,受験要件が厳しくなっているようですので,試験協会のHPを御確認ください。)。日本の弁護士や法務部員の方がアメリカのロースクールに留学する場合,ほぼ全ての方がLLMプログラムに入学します。JDとLLMの違いについては,私がかつてVanderbilt University Law Schoolに留学していた時代に書いた以下の記事もご参照ください。

http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/2007-01-24

そしてSJD(エスジェーディー,Doctor of Juridical Scienceの略)は,学者を目指している人向けの,博士課程です(学校によってはJSD,稀にPhD in Lawとも呼ばれます。)理系科目や経済学などの博士課程であるPhD(ピーエイチディー)に相当します。いずれにせよ,JD及びLLMの上位に位置付けられ,「アメリカの法律の学位で最も進んだもの(the most advanced law degree in the United States)」とされています。

JDやLLMに比べて馴染みが薄いのは,そもそもSJDを設けているロースクールが少ないこと(いわゆるトップ20ぐらいのロースクールでも,半数ぐらいの印象です。)と,ほとんどの学校が毎年若干名しか入学させないことなどが理由だと思われます。LLMを取得した留学生で,とくに研究に熱心な人がそのままそのロースクールのSJDに進むのが通常であり,多くの学校が入学の条件として「その学校のLLMを優秀な成績で卒業していること」を求めています。

SJDでは,JD及びLLMのように授業を履修することはほとんど無く,指導教授の元で各自が設定したテーマについて研究します。入学するためには,JD及びLLMで要求される大学時代の成績,エッセイ,履歴書,推薦状なども必要ですが,なによりDissertation Proposal(研究計画書)が評価されなければいけません。要は,「この学生の研究は面白そうだ。私が指導してやろう。」と請負ってくれる教授がいないと入学できないのです。

SJDを卒業するには,一定期間内に論文を完成させて口頭試問に合格することが必要です。私の通うアイオワ大学ロースクールの場合,1年間通学した後はどこで研究を続けても良い(本国に戻ったり,仕事についたりしてよい)のですが,その後5年以内に口頭試問に合格することが条件になっています。最短何年で取得できるのかはよくわからないのですが,某トップ校ではどんなに頑張っても5年以内には卒業できない,という話を聞いたことがあります。

さて,先ほどLLMを優秀な成績で卒業した人がSJDに進むと書きましたが,実は私はJDしか持っていません(さらにあまり優秀な成績でもありません。)。そんな私がなぜSJDを取ろうとしているのかを話し出すととても長くなってしまうので,一言にまとめると,「法律を教えるという自分が好きな仕事をするために,アメリカの法学位で最高のものが欲しかった」ということになります。

ここまでこのブログを読んでくださっている奇特な方はうすうすお気づきかもしれませんが,私はそうとういい歳です。日本の大学の法学部を卒業した私は,日本の民間企業で働いていました。当時は弁護士になろうとは全く考えておらず,司法試験を受けたことさえありませんでした。人事異動で国際法務を担当することになり,そこで出会ったアメリカ弁護士にあこがれて,ロースクールに留学しました。留学途中に会社を辞め(学費は返済しましたが,多くの方にご迷惑をかけてしまいました。),JDを取得し,ニューヨークの弁護士事務所に就職しました。その後東京オフィスに移り,また別の事務所に移り,そして外資系インハウスもやり,今回の留学の直前は某政府機関で任期付公務員として働いていました。

そして,実務に携わる一方で,非常勤講師として日本の某ロースクールで国際系の科目を5年ほど教えてきました。学生に経歴の話をするとたいてい驚きますし,「先生はいったいどこに向かっているのですか?」と聞かれたこともありました(笑)。某政府機関での任期が切れたら何をしようかと考えたとき,今までいろいろやってきてそれぞれ魅力があったけど,やはり教えることが一番好きだという思いが強くなりました。就職の面接をするとたいてい「とてもユニークなご経歴ですね。」といわれることもあり(皮肉かもしれませんが私はポジティブに取るようにしています。),それならとことんユニークさを追求しようと思い,たぶん世界でも稀であろうJD+SJDになるべく,少し「人生のお休み」をいただいてアメリカに戻ってきた次第です。

だいぶ長くなってしまったので,ではここで何をしているのか,については次回以降に書きたいと思います。

アイオワの楽しみ

さて,だいぶご無沙汰してしまいました。授業が始まって約一カ月が経ちました。まだSJDとは何か,私がここで何をしているのか全く書いていませんが,それらの話は後回しにさせていただいて,今回はアイオワならではの楽しみについて,三つほどご紹介したいと思います。

① アメリカン・フットボール

アメリカで最も人気のスポーツの一つであるアメリカン・フットボールですが,実はプロリーグであるNFLよりも大学リーグのほうが人気です。その理由は様々だと思いますが,一つには,すべての州や多くの街に大学があり,地元に根差しているということがあるでしょう。9月からシーズンが始まり,スポーツ専門チャンネルのESPNでも毎日のように特集されています。

アイオワ州には残念ながら四大スポーツ(野球,バスケ,アメフト,アイホ)のフランチャイズが一つもないので,その分大学スポーツに人気が集まります。わがアイオワ大学はHawkeys(ホークアイズ)の愛称で知られ,特に昨年は無敗を誇るなど大変強く,街を挙げての応援がなされます。スタジアムの収容人数は約7万人(大学があるアイオワ・シティの人口とほぼ一緒)ですが,人気のカードはすぐにチケットが売り切れてしまいます。

先日,ライバル校であるアイオワ州立大学(Iowa State University)とのホームゲームがあったので,観戦してきました。チケットはなんと一枚150ドル!それでもスタジアムは満員で,商業的にかなり成功していることがわかります。大学アメフトの監督の年俸は大変に高く,最高額はアラバマ大学の監督の700万ドル(約7億円)!アイオワ大学の監督の年俸も400万ドルを超えており,「州の公務員で最高給取り」であるため,チームが連敗していたときは大変に問題視されたようですが,昨年は無敗だったためその議論も消えたようです。

フットボールの試合がある日(毎週土曜日)は,駐車が至難の業になります。スタジアム内の駐車場は,なんと最低15,000ドルからの年間契約!離れた場所に停めてシャトルバスという手もあるのですが,たまたま私の自宅の近所に試合日だけ使われる鉄道(Hawkeye Express)の駅があるため,それを使ってみました。

来た〜。
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スタジアムはチームカラーの黒と金に染まります(金というより黄色)。当日は黄色のTシャツを着ていったのですが,どうやら黒エリア?だったようで,少し浮いてしまいました。でも試合は42対3で快勝!
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② リンゴ狩り(Apple Picking)

アイオワはとても自然の美しい州ですが,この季節ならではのものとして,リンゴ狩りがあります。ロースクールから車で30分ほどにある,Wilson’s Orchard(http://www.wilsonsorchard.com/)というところに行ってきました。

広大なリンゴ園で,リンゴが採りほうだい!(持ち帰るリンゴはもちろん有料です。。。)
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アップルパイにして食べるのもおススメ。
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③ サイクリング

冬の寒さが厳しいアイオワですが,その分春夏秋の美しさは格別。自然を身近に楽しむ方法の一つとして,サイクリングがあります。アイオワは自転車フレンドリーな州としても有名らしく,様々な場所に自転車専用道路(Bike Trail)があります。私も健康維持を兼ねて,週末になると様々な場所に自転車で出かけています。

森の中とか
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湖とか
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地平線に沈む夕焼けも
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生活立上げ その2

前々回に引き続き,生活の立上げについての記事です。到着翌日は,朝一から活動を始めました。

⑤ 銀行口座を開設

地元の銀行だと,Hills BankかUniversity of Iowa Credit Union (UOICC)を使う人が多いようです。前者はアイオワ大学が御用達の銀行指定をしており,キャンパス内にATMもあって便利なのですが,大学が経営している銀行のほうがなんとなく信頼できそうなので,私は後者を選びました。日本の銀行でまとまった金額の小切手を発行してもらい,こちらの入金に使いました。ATM・デビッド・クレジット兼用のカードが貰えます。ちなみに,損害保険についても後日こちらの系列会社で申し込みました。

⑥ 車をゲット

アイオワ大学が運営するバス交通網(Cambus)が非常に発達しているので,車無しで生活している学生も結構います。私は学生街からは離れた静かな住宅街がよかったので,大学のあるIowa Cityの隣町のCoralvilleという町に住むことにしましたので,通学に必要(10分ほど)なこともあり,車を購入しました。

アメリカでは一般に中古車の価格が高く,新車を買ってもかなり高く売ることが出来ます。かつて留学したときに最初に乗った車は,代々日本人留学生に受け継がれて走行距離が10万マイル(約16万キロ)を超えたJeepでした。一年ちょっとでご臨終になってしまったのですが,何となく愛着があり,今回は新車のJeepを選びました。欲しかったモデルが店頭にあり,そのまま乗って帰れたことも魅力でした。なお,保険は法律で加入が義務付けられていますが,保険料が高く無保険のケースも多いため,相手が無保険の場合もカバーする必要があります。とにかくすぐに入りたかったため,ネットでProgressiveに加入しました。ロードサービスについては,別途AAAに加入しました。

⑦ ケーブルテレビとインターネットを契約

地元のMediacomという会社で,ケーブルテレビとインターネットのセットに加入しました。会社の窓口まで行けばその場で申し込めますが,実際につながるまでには一週間近くかかりました。申込み時にワイヤレスを指定しておくと,家の中でもパソコン,携帯,プリンターなどがWi-Fiでつなげますので便利です。ちなみにケーブルテレビは見られるチャンネルの多さで値段がかなり変わってくるのですが,まあ勉強しにきたのだからと,最低限のものにしました(本当は,スポーツチャンネルのESPNとゴルフチャンネルも見たいです。今は大手放送局のNBCがオリンピックを独占中継しているので退屈しないのですが。)。

⑧ 家具をゲット 

最低限の家具として,ベッド,机と椅子,ダイニングセット,ソファ,本棚が必要です。そのうち,ベッドと机は,学業にかなりの影響を与えますので,出来るだけ良いものを選ぶべきです。ネット検索で一番良さそうだったSlumberlandという家具屋で一通り揃えたのですが,学校が始まるシーズンなので忙しいという理由で,配達まで一週間以上かかってしまうとのこと。仕方なく,後日に車で片道3時間のところにあるIKEA(アメリカ英語ではアイキアと発音します。)までJeepを飛ばして調達に行ってきました。

⑨ 自転車をゲット

自転車はマストアイテムではないのですが,小回りが利くので家や学校の周囲を探索するのに便利ですし,いい運動にもなります。Iowaはbike friendlyな州としても知られているそうで,家から数分のところにも林間や川沿いのバイクレーンが整備されています。冬が極寒な分,夏はけっこう快適な気候なので,このところ毎日のように自転車で走っています。

⑩ 日常の買い物

こちらに来てから三週間ほどが経過し,生活もだいぶ安定してきました。なじみのお店は以下の三つです。

Coral Ridge Mall:歩いても5分ほど(たぶんモールの端から端までのほうが遠いです。)のところにある,比較的大きなモールです。TargetやBest Buyなどの量販店も入っていて便利です。なお,車で30分ほどのところにあるTanger Outlet Mallも結構充実していて,まとめ買いにはお勧めです。

Hy-Vee:中西部を中心に展開している大手スーパーです。結構品質や品ぞろえがいいです。ポイントを貯めると,近くにある同系列のガソリンスタンドで割引されます。

New Pioneer:こじんまりしたスーパーですが,オーガニックの食材が充実しています。

日本食材も含め,今ではネットでかなりのものが手に入りますので,そちらを活用するのも手でしょう。ただ,アイオワは田舎なので,通常便だと届くまでに数日から一週間かかってしまうので注意が必要です(もう慣れましたが。)。

⑪ 運転免許をゲット(2016年11月16日追記)

アイオワ州では、日本の免許と国際免許を保有していれば運転することが可能ですが、証明書になりますし(試験を受けるまでに時間がかかりますが)手続自体は簡単ですので、取得をお勧めします。詳細は、下記のHPを参照ください。我々が取得できるのは、無試験でもらえるIDか、筆記試験・実技試験を受けてもらえるDriver's Licenseになります。アルコールを買うときや注文するときには必ずIDを要求されますので、パスポートを持ち歩く必要の無いよう、運転しない方もIDを取っておいたほうが楽です。

http://www.iowadot.gov/mvd/driverslicense/default.htm

入国してすぐに取得しなかったのは、学校から、学生としてのステータスが反映されるまで時間がかかるので1か月ほどは待ったほうがいいといわれたためです。私の場合、9月29日に筆記試験を受けて合格したのですが(上記HPにある練習問題と全く一緒なので、練習問題を何度かこなせば十分です。)、実技試験の空きが11月1日まで無いといわれ、とりあえずIDだけまず取得しました。その後受けた実技試験も、ただ試験場の周りを10分ほど運転するだけでしたが、(特に試験場から出るとき)一時停止で完全に停止しないと一発で落とされるという噂がありますので、注意が必要です。

オリンピック

留学とは全く関係ありませんが,リオオリンピックで快挙を目の当たりにして,思わずブログに書いてしまいました。

アメリカではNBCが独占テレビ中継をしており,まだ授業開始前で時間のある私もけっこう見ています。しかし,当然のごとくアメリカ人選手の活躍が中心となり,日本人選手が映ることはめったにありません。そのため,柔道,レスリング,卓球,テニスなど多くの競技での日本人選手の活躍も,ネットで速報をチェックすることくらいしかできませんでした(体操の内村選手は,こちらでも「キング」として注目されていましたが。)。

ところが今夜,みなさんご存知のとおり,陸上の4x100メートルリレーで,日本チームが銀メダルという快挙を成し遂げたのです!もちろんこの結果もうれしいのですが,私が何よりうれしかったのは,アメリカの解説者の,日本チームに対するレース前のコメントでした。

この競技ではかつてアメリカが無敵を誇っていましたが,このところジャマイカに全く勝てなくなっていました。そのため,レース直前の解説でも,アメリカがリベンジできるかが話題の中心でしたが,解説者が,注目すべきチームとして日本を挙げたのです。「日本チームのバトンリレーは世界一といってよい。普通のチームはバトンの練習を数週間かせいぜい一カ月程度しかしないが,日本は一年も練習してきているという。彼らのタイムはリスペクトするべきで,彼らが表彰台に立つ可能性は十分にある。」というような趣旨のコメントでした。

今回日本チームが歴史的快挙を達成できた大きな理由の一つは,お家芸であるアンダーハンドパスをさらに改良して臨んだことだそうです。日本人選手の個々の力はアメリカやカナダに及ばないのかもしれませんが,そこに日本ならではの戦略と努力によって活路を見出したこと,そしてそれがアメリカでも大変評価されていることに感銘を受けました。

私は,かつてアメリカの弁護士になることを夢見てロースクールのJ.D.過程に留学したものの,超えられない語学力の壁にぶつかりました。それでも,細かい作業のためアメリカ人が苦手としているブルーブッキングという文献参照スキルで,「日本人ならではの細かさ」を生かすことで周囲に認められるようになりました(詳しい話は,http://vanderbilt-law-japan.blog.so-net.ne.jp/2007-08-29をご参照。)。そんなことを思い出してしまいましたが,全くレベルの全く違う話ですみません。。。

生活立上げ その1

はじめまして,アメリカのアイオワ州にあるUniversity of Iowa, College of Lawの法学博士課程(S.J.D., Doctor of Judicial Science)に2016年8月に入学したMです。

かつてVanderbilt University Law SchoolでJ.D. (Juris Doctor)を取得し,ニューヨーク州弁護士として様々な仕事に携わってきた私が,なぜこの年でロースクールに戻って勉強をしようとしているのか?その話は長くなりますので,(いつか書きたいとは思っていますが)今回は生活の立上げについてです。

私がアイオワ州のCeder Rapids空港にたどり着いたのは約三週間前。来週からは授業が始まります。二度目の留学ですので,慣れはありましたが,やはり新たな生活の立上げにはそれなりの苦労がありました。まだ記憶が新しいうちに,備忘録も兼ねて,どんな準備を進めてきたかを順番に書き綴っていきたいと思います。

〜到着前〜

⓪ アパートと電気の契約

授業開始前にかなりの準備時間がある場合は,現地に入ってからアパートを探すという方法もあります。しかし,人気の高い物件は早めに埋まってしまいますので,前回の留学でもそうでしたが,あらかじめネットで当たりをつけて,学校のスタッフに評判を確かめ,入国前に物件を決めて賃貸契約もしてしまいました。賃貸契約の開始と同時に,現地の電力会社との契約も必要でした(両方とも日本のクレジットカードで支払い可能でした。)。

〜到着日〜

① レンタカーを借りる

アメリカでは,ニューヨークのマンハッタンなど一部の大都市を除き,車無しで生活するのは非常に難しいです。最低限の物資調達にも必要なので,あらかじめ大手のHertzをネットで予約して,空港でレンタカーを借りました(街中で返却可能です。)。一週間の契約でしたが,後述の通りすぐに車を購入できたので,2日間で返却し,使っていない分は返金してもらえました。

② 携帯電話をゲット

まず必要なのは携帯電話です。立上げのためにいろいろと連絡する必要がありますし,後述の銀行口座開設も電話番号が無いとできません。ある程度クレジットヒストリーが無いと年間契約は出来ないはずですし,とりあえず電話があればよいので,モールで物資調達をするついでに,格安のプリペイド携帯(電話機20ドル,通話+ネットで月40ドル)を入手しました。小ネタですが,いろいろなところで住所と電話番号を記入するので,携帯の裏にシールにして貼っておくと便利です。

③ 寝袋をゲット

アメリカのアパートは,家具付きではないところが殆どではないでしょうか。私のところも,洗濯機・乾燥機・冷蔵庫・食器乾燥機・オーブンは付いていましたが,それだけでは生活できません。アパートには既に入居可能で,ホテル代ももったいなかったので,寝袋を買って床で寝ることにしました。ちなみに,アイオワの冬は極寒ですので,万が一車が動かなくなったときのために,車に寝袋を入れておいた方がよいと聞いたことがあります。

④ 最低限の物資をゲット

モールの中には,Targetという巨大なスーパーが入っており,質はともかく,生活に必要な物はたいていここで入手可能です。数日分の食料,使い捨て食器(食器は後でお気に入りのCrate & Barrelでネット注文する予定でした。),フロアライト,洗剤などの日曜品を買い込みました。シャワーカーテンを買い忘れて,お風呂の床がびちょびちょになってしまいました。また,日本ではあまり必要ないでしょうが,アメリカのトイレは結構詰まりやすいので,あのカポカポやるポンプ(正式名称?)も忘れずに。かつて留学したときに,大惨事になりかけたことがありました。

さて,本当はお昼過ぎに到着して,その日のうちに車や家具もそろえてしまう予定だったのですが,実は経由地のシカゴ・オヘア空港で天候不順のため5時間も足止めを食らってしまい,こちらに到着したのは夕方になってしまいました。そのため,最低限の物資をそろえたところで力尽きてしまいました。翌日以降の準備は,また別の記事で書きたいと思います。
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